2022 Fiscal Year Research-status Report
外乱によるシステムの機能低下と回復性能の定量評価に関する研究
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20K05021
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
弓削 哲史 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (50546041)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レジリエンス / 共通原因故障 / 長期運用 |
Outline of Annual Research Achievements |
想定外あるいは想定を超える外乱の発生( エマージングリスク)により大規模な機能障害の発生と、その状態からの復旧をモデル化し、システムのディペンダビリティ性能(あるいはレジリエンス性能)を評価する研究に取り組んだ。 研究課題を、(1) 外的ショックによる機能障害および回復性能の定量化に関する研究、及び (2) ネットワークトポロジーを用いた最適修理方策、の2つの研究細目に分けて研究を行った。 細目(1)では、電力ネットワークをモデルとして、外的ショックに起因する共通原因故障の発生を大規模障害の発生としてモデル化し、連結ノード数を評価尺度としたシステムレジリエンスの評価方法を考案した。その際に、長期運用を想定し、障害と復旧が繰り返し出現するシステムの様相をマルコフ過程によりモデル化したことが特徴である。今年度は特にノードの需要量に相当するノード重みを考慮したモデルの提案、2段階整備方式に対象を拡張した大規模な同時故障が生起した2段階整備方式の稼働率の算出方法の検討を行った。 細目(2)では、ネットワークの正常ノードの割合をシステムの性能として用い、修復完了時にシステム性能が最大となる故障エッジを選択する方法を検討した。今年度はエッジ重要度を連結数を用いて新たに提案し、モンテカルロシミュレーションにより提案した重要度を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外的ショックによる機能障害および回復性能の定量化のため、今年度は細目(1)に関して、(1)共通原因故障の発生を大規模障害とみなしエマージングリスクのモデル化、(2)ノード重みを導入したパフォーマンスの定量化、(3)エッジ重みを考慮したパフォーマンスの定量化、(4)2段階整備方式への適用を行った。 コロナ渦の影響で、海外および国内出張による十分な情報収集ならびに研究発表による他の研究者との意見交換ができなかったが、(1)(2)(4)の理論考察を優先して進めた結果、一定の成果を得た。しかしながら(3)に関しては、想定以上に困難を極め予定した成果を得るには至らなかった。 細目(2)は、システム性能が最大となる故障エッジを選択する方法を検討し、エッジ重要度を提案したが、未だ限定されたネットワーク構成にとどまり、一般化には至らなかった。 以上より、現在の全体としての進捗は、やや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き2つの研究細目それぞれに、計画に基づいて研究を実施する。令和4年度は細目(1)に関して、より大規模なシステムに適用できるよう近似方法の改善を進める。また、エッジの容量を考慮したネットワークパフォーマンスの定量化についてさらなる検討を進め、電力網ネットワークにおけるより現実的なレジリエンス評価を目指す。 細目(2)に関しては、早急に、修復順序決定のためのエッジ重要度の評価方法について検討を行い、それを用いた高レジリエンスネットワークを設計するための指針を示す。
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Causes of Carryover |
今年度はほぼ予定通り使用したが、コロナの影響により、前年、前々年の使用額が少なかった影響で次年度使用額が発生した。次年度使用額は次年度に研究協力者の学国出張を追加することにより使用する予定である。
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