2021 Fiscal Year Research-status Report
静止気象衛星高頻度観測と地上レーダ観測の複合利用による降雨事前予測手法の開発
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20K05026
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
濱田 篤 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (30550008)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 極端降雨 / 降雨予測 / 静止気象衛星 / 高頻度観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
豪雨の事前予測が喫緊の課題となっている。激しい雨は発達した積乱雲からもたらされるため、降雨をもたらす前の積乱雲の発生・発達過程を追うことで、地上での降雨開始が予測できると期待される。そこで本課題では、静止気象衛星「ひまわり8号」による高頻度観測を活用して、積乱雲の発生・発達過程の統計的特徴をもとに地上の降雨開始を予測する経験的手法を開発し、社会の豪雨への適応に資することを目的とした研究を行う。 2021年度は、降雨開始時の地表降雨強度の量的予測の可能性を探るため、気象衛星「ひまわり8号」による赤外輝度温度観測データから推定できる積乱雲の発達速度の統計的特徴について調査を行った。10分間隔のフルディスク観測から推定された雲頂発達速度の高度別強度分布は、研究代表者らによる先行研究(Hamada and Takayabu, 2016, Geophys. Res. Lett.)と整合的であった。従来の静止気象衛星による輝度温度観測は30分または1時間間隔であったため、このような成長過程を捉えることができなかったが、最新の静止気象衛星による高頻度観測によって、積乱雲の発達過程が詳細に捉えられることを確認できた。しかしながら、観測間隔10分の場合は、主に積乱雲の追跡精度の低下のために不自然な推定値が多くなり、降雨強度の量的予測には課題が残ることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度当初計画に挙げた、降雨発生前のひまわり8号輝度温度の時系列についての解析は、前年度に既に進展があった。いっぽう、2021年度当初計画では、高頻度観測を活かした積乱雲の発達率に特に着目した解析を進めることとしていたが、その結果は十分に満足の行くものではなく、次年度も引き続き解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、地上に降雨が観測されたとき、そこに至るまでの積乱雲の発生・発達過程を統計的に記述することを目的とした研究に引き続き取り組む。気象庁降水レーダ観測で降雨が発生したときに、その1時間程度以前からの「ひまわり8号」高頻度観測に見られる特徴を統計的に記述する。積乱雲・巻雲などの雲種、雲頂高度などのほか、高頻度観測を活かした積乱雲の発達率に、特に着目する。発生した降雨の強さや雨域の広さ、季節などによって分類を行い、これらの特徴量を統計的に記述する。積乱雲が発生して地上で雨が降るまでの過程が、「ひまわり」高頻度観測から積乱雲を追跡することで統計的に明らかになる。また、積乱雲の発達過程の違いが、降雨が始まるまでの時間や雨の強さなどに与える影響に関する知見が得られる。
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Causes of Carryover |
当初計画に挙げていた出張を実施できなくなったため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(4 results)