2021 Fiscal Year Research-status Report
城郭築石構造物の災害レジリエンス向上のための力学的安定性の定量的評価手法の提案
Project/Area Number |
20K05030
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
杉本 知史 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60404240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 洋一 長崎大学, 工学研究科, 教授 (50284708)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 城郭石垣 / 築石構造物 / 遠隔モニタリングシステム / ワイヤレスセンサネットワーク / 動態観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、城郭の築石構造物の変状観測のための遠隔モニタリングシステムの開発・運用と,個別要素法に基づく石垣モデルの数値シミュレーションにより, これらの構造物の静的・動的安定性に関するメカニズムを明らかにすることを目的としている。 2021年度の計画は、①熊本城石垣の変状モニタリングシステムの設置・運用、②丸亀城石垣への変状モニタリングシステムの設置・運用を行うこととしていた。 ①については、熊本城において、長崎大学の杉本と石塚が開発してきた変状モニタリングシステムを,熊本城の地震で崩壊に至らないものの大きな変状が生じた石垣に設置し、不安定石垣石の動態観測を行うとともに,独立した電源や良好な通信環境の確保など,現地におけるシステムの安定運用に関する評価を行い,適切なシステム設計やセンサ配置方法も検討することを目的としている。センサ設置箇所は,管理する熊本城調査研究センターとの協議により決めるが,平左衛門丸(宇土櫓台)の石垣,もしくは加藤神社脇の石垣を予定する。 ②については、老朽化により大きな変状が生じた中で豪雨による崩壊を起こした丸亀城の石垣に①のモニタリングシステムを設置し、同様に不安定石垣石の動態観測を行うを目的としている。センサ設置箇所は,管理する丸亀市教育委員会文化財保護室との協議により決めるが,丸亀城三の丸および帯曲輪の石垣を予定する。 以上、2点について2021年度実施することで、次年度以降の研究計画遂行につなげるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の計画は、①熊本城石垣の変状モニタリングシステムの設置・運用、②丸亀城石垣への変状モニタリングシステムの設置・運用を行うこととしていた。 ①については、城内の不安定石垣が存在する3か所、計8点において遠隔モニタリングシステムの設置、運用を行っており、現在も動態観測を継続している。現状では、いずれの個所においても目立った変化を示すデータは得られていない状況にある。 ②については、対象箇所が長崎から遠隔であること、新型コロナウィルス感染拡大の状況が続いたことから、現在のところシステムの設置に至っていない。これについては、①の熊本城内の他の個所を丸亀城の代替箇所として位置づけ、研究遂行の支障とはならないよう、対応している状況にある。 以上の状況から、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、当初の研究計画について予定通り実施するが、以下の通り一部変更することとする。 ・研究計画では、熊本城に加え、香川県の丸亀城を研究対象とすることとしていたが、新型コロナウィルス感染の状況が改善されない中、現地での調査や計測機器の設置のための地域間移動が難しいことから、2020年度の報告において長崎県から近隣の対象に変更することを検討するとしていた。2021年度においてもこの状況は改善されなかったことから、代替地候補の検討・現地調査を試みたが、いずれも石垣の規模や立地、現況において研究対象とすることは困難と判断したことから、熊本城のみを対象として研究を遂行することとしている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染の状況が改善しない中、研究計画で観測対象としていた香川県丸亀城での計測が実施できなかったことから、そのための旅費支出がなされなかったため、使用額に差額が生じた。次年度以降の計画にも記述した通り、今後は熊本城での観測対象を拡大することでこの代替とするため、当該差額をこれに充てる計画としている。
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Research Products
(5 results)