2021 Fiscal Year Research-status Report
ストームに相対的なヘリシティを用いた竜巻等突風予測の高精度化に関する研究
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20K05033
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
山根 悠介 常葉大学, 教育学部, 准教授 (10467433)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 竜巻 / 突風 / 予測 / ストームに相対的なヘリシティ / 気象レーダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度に購入した気象レーダーデータを読み取り,それに基づいて竜巻等突風をもたらす積乱雲の検出と,その移動速度推定方法の検討を行った。気象レーダーデータの読み取りと加工処理については,気象庁提供のプログラムを入手し,データの読み取りと加工処理を容易に行うことができるようになった。積乱雲の移動速度の推定については,レーダー画像を目視で読み取ることによる主観的な方法と,過去の研究で行われてきた客観的な推定方法の両方について検討を行ってきた。主観的な方法については,気象レーダーの画像を時系列に並べて,竜巻等突風をもたらす積乱雲を表しているエコー強度の塊を目視で追跡し,ある時間内におけるエコーの塊の平均的な移動速度を求める方法を検討している。どの程度のエコー強度と広がり(面積)の塊を対象とするか,一つ一つの画像を見て検証を積み重ねがら手順の確立を目指してきた。客観的な手法については,積乱雲を表すエコー強度の塊をある基準(どのエコー強度以上とするか,どれくらいのエコー強度の広がり以上とするか)に基づいて検出し,時刻ごとにその基準で検出されるエコー強度の塊を認識して,ある時間内における平均移動速度を求めるという方法であり,それをフォートランベースのプログラムで構築中である。主観的な方法,客観的な方法,いずれについても積乱雲を表すエコーの塊をいかなる基準で検出するか,この基準の設定を様々なに変化させてより適当なものを決定し確立しようしている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,日本国内のみならずアジア域で竜巻等突風が多発するバングラデシュ等インド亜大陸北東部も対象としている。前年度に引き続き今年度もコロナ禍の影響で現地渡航ができず,突風をもたらす積乱雲の移動速度推定に必要な気象レーダーデータの入手ができていない。気象レーダーデータは現地に赴いて直接交渉して購入する必要があり,リモートでの購入入手は難しい。このような状況ゆえ,インド亜大陸北東部における竜巻等突風をもたらす積乱雲の移動速度推定に関する調査研究が進んでおらず,よって本研究全体として「やや遅れている」という判断をした次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは気象レーダーデータが入手できている日本国内について,積乱雲の移動速度推定を多数事例で行い,これに基づいてストームに相対的なヘリシティーの精度検証を行う。この検証結果に基づいて,より発生可能性を高い精度で予測できる移動速度の推定方法を構築したい。今年度はコロナの影響が徐々に収まってきており,現地への渡航が可能な状況となってきた。現地への渡航を検討し,可能ならば現地気象局でレーダーデータの入手を行いたい。データが入手できれば,日本国内の事例に基づいて確立する移動速度推定の手法を適用し,インド亜大陸北東部における積乱雲の移動速度推定手法の確立に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
当該年度における当初経費の殆どを海外渡航にかかる費用に充てていたが,コロナ禍の影響により渡航ができず,多くが未使用とならざるをえない状況となった。次年度以降は現地渡航が可能な状況となってきているため,可能な限り現地への渡航滞在,及びデータの購入入手やそれにかかる謝金等に充当する計画である。
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