2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K05034
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
尾崎 平 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (40351499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 泰輔 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70144392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気候変動 / 内水氾濫 / 大規模アンサンブルデータ / 適応策 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動による気象災害が激化している。本研究は、都市部の内水氾濫に代表される「高頻度低被害型」の水害に着目し、第一に、将来気候における降雨特性の把握を行った。大規模アンサンブルデータによる将来予測は不確実性を有しているが、観測値に基づき計画降雨を作成する従来の計画手法では、不確実性を評価できない。そこで、計画規模以上の被害となる将来降雨を明らかとすることを目的に、「従来型の計画手法」と「不確実性を考慮した計画手法」のそれぞれの方法で作成した降雨イベントを用いて内水氾濫解析を行った。その結果、最大湛水量と時間最大雨量の関係から、アンサンブル予測結果のほとんどはアンサンブル平均を上回ることを示した。また、将来降雨を5つに分類し、注意すべき降雨パターンを明らかにした。さらに、最大湛水量と3時間最大雨量には,高い相関が見られ、内水氾濫において3時間累積雨量のモニタリングが重要であることが示唆された。 第二に、将来降雨を用いた内水氾濫による影響評価について、既に構築している大阪市のモデルに加え、当初の計画通り、福知山市と尼崎市の内水氾濫解析モデルを構築した。大阪市における適応策としては、特に脆弱な地下街について、止水板の設置効果ならびに、地下空間からの避難について、その効果を示した。尼崎市では、全域が市街化されていることから、総合治水の視点から屋上緑化に着目し、屋上緑化による雨水流出抑制効果について定量した。その結果、屋上緑化による雨水流出抑制効果は限定的であることを示した。福知山では、雨水排水をポンプに依存していることから、ポンプ能力の増強、貯留施設の設置による効果について定量した。その結果、雨水排水能力の向上により一定の効果が得られることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に予定している2021年度までに実施する降雨特性の把握については完了した。 さらに、2021、2022年度で実施予定の将来降雨を用いた内水氾濫による影響評価については、これまでに構築できた大阪市のモデルに加え、当初の予定通り、福知山市、尼崎市についてモデル化を終え、当該地域毎に将来降雨の抽出、確率雨量の算定を行い、氾濫解析、考察を実施することができた。 当初予定の上記2点について、計画通り実施できているため「順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の研究計画に従い実施していく。 2022年度は、将来降雨を用いた内水氾濫による影響評価に関するリスク評価の提案を行う。 また、2022年度より内水氾濫に対する適応策の軽減効果と費用対効果の定量化に取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により参加予定であった学会の一部以外、Web開催となり、かつ資料収集調査を実施することができなかったことによる旅費・参加費、ならびに大学への入構制限などによる期間に想定していた学生アルバイトの謝金について繰越を行った。次年度は、学会参加、資料収集などを予定通り行い、かつ、解析ソフトのライセンス数を1から2に変更し、計算効率の改善を図る予定である。
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Research Products
(9 results)