2022 Fiscal Year Annual Research Report
高潮・高波・河川による複合浸水リスクの高精度評価手法の開発と複合リスクの評価
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20K05046
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
金 洙列 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (60508696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 名誉教授 (30127138) [Withdrawn]
森 信人 京都大学, 防災研究所, 教授 (90371476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高潮 / 越波 / 打上げ / 浸水 |
Outline of Annual Research Achievements |
勢力の強い台風による河口域での複合氾濫を評価するためには,沿岸域で発生する高潮とその河川遡上および上流からの洪水流を一体に解く数値モデルが不可 欠である.本研究は波浪・高潮結合モデルをもとに非線形長波モデルに対して直接河道を組み込み,河川流量の観測値もしくは水文モデルの結果を接合境界に与 えることで,河川流および高潮の河川遡上を考慮可能なモデルを開発した.開発したモデルを用いて2018年台風21号通過時の淀川および猪名川の河川水位の挙動の再現性を検討した.また上流からの洪水流の有無に関する感度実験を行った結果,淀川河口から約14 km上流の毛馬において1.2 mの水位差が生じることが明ら かとなった.さらに洪水流を考慮しない場合は,河川水位ピーク出現時刻が遅れることも明らかとなった. 高潮浸水解析モデルに関して,不規則波の打上げと越波流量を統合したIFORMや,越波・越流遷移モデル,さらに,これらを結合した高潮・波浪・浸水結合モデル (SuWAT-IFORM) が提案されており,高潮浸水算定の精度向上が期待されている.しかし,これらのモデルは従来のモデルよりも適用事例がまだ少ない.本研究では,これらのモデルの妥当性を検討するため,2014年12月の爆弾低気圧を対象に再現計算を実施し,浸水深の調査結果や従来手法による計算結果と比較した.その結果,IFORMは相対天端高が小さい場合に高山式と同程度の精度を有することや,越波越流遷移モデルにより越流時における越波流量の不連続性が解消されることがわかった.単純地形において、高潮、高波による越波と打上げ、越流、降雨による下水道の逆流、海水の流入、降雨による地表面流の統合モデリングに成功した.開発したモデルを潮汐を考慮すると共に関西空港に適用して2018年台風21号による浸水被害を再現することができた.
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Research Products
(12 results)