Feasibility Study on Estimation of Structural Damage due to Earthquakes for Large-Spanned Structures

2022 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20K05056
• Research Institution: National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention
• Principal Investigator: 藤原 淳 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (80817049)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 大空間建築物 / 地震損傷推定 / 縮小模型実験 / 振動台実験 / 実験モード解析 / 模擬損傷

Outline of Annual Research Achievements

災害時の避難所として活用される学校体育館等の大空間建築物の地震損傷を，構造体各部の加速度等の計測結果から検知，推定し得るかどうかを明らかにすることが本研究の目的である。
令和4年度は，令和3年度に改良を行った体育館縮小模型を用いて振動台実験を行った。実験では，(1)多種の周波数特性の異なる地震動に対する応答からの振動数や振動形状（以下，振動特性）の変化の検知，(2)複数個所の模擬損傷による振動特性変化の検知，(3)外装材（屋根）の影響，(4)加振によって縮小模型に損傷を与える試験方法，の4項目を検討した。実験によって，(1)7種類の周波数特性の異なる地震波による応答を用いても振動特性を安定的に検知しうること，(2)複数個所の模擬損傷による振動特性の変化を検知し得ること，(3)外装材により構造物の剛性と減衰が影響を受けること，(4)継ぎ手部分の強度を一般部に比べて小さくすること損傷を継ぎ手部分に集中させることが可能であることを確認した。実施計画に記載した項目を遂行し，本研究の目的である地震損傷推定の実行可能性検討，ならびに今後の研究展開に資する有用な実験データが得られた。
研究機関を通じても，実施計画に沿って研究を遂行した。模擬損傷を与えた縮小模型の振動台実験を通じて，模擬損傷による構造物の振動特性変化を，地震動の周波数特性によらず安定して検知可能であることを示した。模擬損傷を与える位置と，振動特性の変化のパターンに相関があることも明らかになっており，今後の地震損傷推定の実行可能性が示された。模擬損傷を与える実験や，地震損傷を意図した箇所に集中させる実験技術も開発した。今後，効率的に実験を実施可能であり，今後の研究展開に資することが期待される。