2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and characterization of amorphous SiAlCN with reversible hydrogen adsorption-desorption properties and application as a catalytic reaction field
Project/Area Number |
20K05076
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩本 雄二 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40399598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 沢雄 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50301221)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素 / 水素貯蔵 / アモルファス / ポリマープレカーサー / ナノコンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、SiAl(C)N系で得られた知見を基に、新たにM1SiM2N系(M1:遷移金属および 貴金属以外、M2:第13族元素)の新規合成と水素親和機能の評価を進めた。前年度までに構築したポリマープレカーサー法を駆使したアモルファス多元素系材料の合成基礎技術を応用して材料合成検討を進めた結果、M1=アルカリ金属、M2=Bの組み合わせにより、従来のSiAl(C)N系と比較して大気中での安定性が飛躍的に向上することが分かった。そこで、前年度と同様に、前処理として不活性ガス中での加熱処理を施した後に水素親和性を評価したところ、水素吸脱着機能の発現を確認できた。さらに得られた材料の核磁気共鳴スペクトルを詳細に解析した結果、この水素の吸脱着機能の発現には、B-N結合を有する3配位BとN-M1結合のペアが重要な役割を担っていることが強く示唆された。 これらの研究と併行して、遷移金属ナノ粒子を分散させたアモルファス窒化ケイ素、あるいはシリカ/アルミナ複合体、および遷移カチオンをドープしたアモルファスシリカを合成して、これらの水素親和性や水素との化学反応性を系統的に評価した。そして、これらの評価結果と比較して、アモルファスM1SiM2N系材料の水素親和機能の特異性を考察した。また、これらの検討を通じて、特に遷移金属ナノ粒子を分散させたアモルファス窒化ケイ素の組織形成に関して、遷移金属としてニッケル(Ni)を選択したところ、従来には無い約400℃という低温でNiナノ粒子分散アモルファス窒化ケイ素が形成できることを見出し、その組織形成機構についての新たな知見が得られたことから、この研究成果を1件の査読付論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に基づいて、以下の研究項目に取り組んだ結果、当該年度において目標とする成果を得たことを基に自己評価した。 (1)アモルファスM1SiM2N系材料の設計と合成: ポリマープレカーサー法を駆使したアモルファスM1SiM2N系材料の合成検討を進めた結果、ポリシラザン誘導体をボラン-ジメチルスルフィド コンプレックス(BH3-SMe2)で化学改質してSiBCN系ポリマープレカーサーを得た。さらに、これをアルカリ金属ハライド(M2H)で化学改質した後、アンモニア雰囲気下1000℃で熱分解することで、目的とするアモルファスM2SiBN系材料を合成することができた。 (2)アモルファスM1SiM2N系の水素吸脱着機能発現の実証: ポリマープレカーサーから合成したアモルファスM1SiM2N(M1=アルカリ金属、M2=B)では、水素暴露条件に依存した水素の昇温脱離プロファイルを詳細に解析することで、100℃以上で水素が化学吸着し、約100~350℃で水素が脱離することを確認できた。さらに、水素の化学吸着に寄与するルイス酸・塩基ペアサイトの局所構造を詳細に調べた結果、水素の吸着・脱離機能発現には3配位BとN-M1結合のペアが重要な役割を担っていることが強く示唆される知見が得られた。 (3)水素解離吸着機能発現から着想したメタネーションの触媒反応場としての有効性の実証:上記(2)で見出された水素の化学吸着につづき、CO2の水素化反応の進行を確認できた。 (4)比較対象として併行して遷移金属ナノ粒子を分散させたアモルファス窒化ケイ素材料の合成検討を進めた結果、Niナノ粒子分散アモルファス窒化ケイ素が約400℃の低温で合成可能であることを見出し、この研究成果は1件の査読付論文として投稿し受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は引き続きM1SiM2N系材料に加えて、遷移金属ナノ粒子を分散させたアモルファス窒化ケイ素あるいはシリカ/アルミナ複合体を合成し、これらの材料の水素親和性や水素との化学反応性を系統的に評価する。具体的には、以下の項目を検討する。 (1)M1SiM2N系材料: ミクロメソ多孔質構造制御を進める。これにより、単位重量あたりの材料表面の水素に対する化学吸着サイト量を増加させることで、水素吸蔵量の増加と水素化反応触媒機能発現の向上を目指す。また、材料の安定性の向上と水素親和機能の両立を目的として、M1は引き続きアルカリ金属として、M2はBおよびAl以外の元素を対象とした材料合成を検討する。 (2)水素吸脱着機能発現の評価: 前年度に引き続き、FT-IR,NMR,XPSなどのスペクトル解析、およびTPR/TPDによる水素吸脱着特性評価を進める。 (3)触媒反応場としての有効性の検討: 前年度に引き続き、アモルファスM1SiM2N系の有機化合物の水素化反応場としての応用を試みる。具体的には、メタネーション反応の進行の可能性について検討する。なお、ここでは前年度に引き続き遷移金属ナノ粒子を分散させたアモルファス窒化ケイ素などの比較対象材料についても、水素化反応場としての評価を進める。
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