2022 Fiscal Year Annual Research Report
希土類オキシフッ化物における相転移の起源解明と抑制
Project/Area Number |
20K05077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 真治 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80379122)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フッ化物イオン / 固体電解質 / 希土類 / 相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、結晶相およびイオン伝導性が未解明であるが、次世代電池材料として期待できる希土類オキシフッ化物に関する基礎的知見を得ることを目的に、各種希土類オキシフッ化物の結晶相およびイオン伝導性について調べた。 2022年度は、2021年度までに実施したLaOF系材料に関する成果を踏まえ、他の希土類オキシフッ化物(ROF)を合成し、それらの構造的特徴と電気伝導性を評価した。 固相法によりROF (R = La, Pr, Nd, Sm-Yb)を合成した結果、R = Laの試料は正方晶、Pr, Nd, Sm-Erの試料では菱面体晶の結晶として得られた。一方、Tmでは菱面体晶相とTm2O3の、Ybでは斜方晶相とYb2O3との混相であった。また、すべての試料において500~600℃の間で相転移が確認された。 詳細に希土類オキシフッ化物の構造的特徴を調べるため、アニオン比を変化させたRO1-xF1+2x (R = La, Pr, Nd, Sm-Yb)を合成した。La, Prの試料では組成中のF量の増加に伴い徐々に正方晶が安定化されるようになり、相転移が抑制された。同様に、F過剰組成において斜方晶となったNd, Sm, Euの試料では、組成中のF量の増加に伴い徐々に斜方晶が安定化されるようになり、相転移が抑制されることがわかった。一方、Gd-Ybの試料においては、Nd, Sm, Eu と同様F過剰組成において斜方晶となったが、xが小さく菱面体晶が主相として得られた試料では相転移が認められたのに対し、xの値が大きく斜方晶が主相として得られた試料では相転移は確認されなかった。RO1-xF1+2xの導電率を測定した結果、正方晶相の試料の導電率が斜方晶の試料よりも高くなった。さらに、同じ結晶相どうしで比較すると、希土類元素の原子番号の増加に伴い導電率は減少する傾向を示すことが明らかなった。
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Research Products
(2 results)