2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K05082
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
金 炳男 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50254149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 孝治 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (20354186)
古瀬 裕章 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50506946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 焼結緻密化 / 気孔サイズ分布 / シミュレーション / レーザーセラミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
1.緻密化へ導く組織要因の評価: ナノ粉末の最終焼結段階における緻密化挙動をシミュレーションできるモデルおよびプログラムを開発した。今年度は、気孔が結晶粒軽より小さい場合は焼結ユニットの修正を行い、初期シミュレーションの問題点を解決した。シミュレーションの結果、緻密化挙動は気孔サイズ分布に大きく依存することが分かった。そこで、実際に測定された緻密化挙動とシミュレーションの比較から気孔サイズ分布を評価し、評価された気孔サイズ分布を持って緻密化挙動を再シミュレーションしたら、実験結果と非常によく一致することが分かった。すなわち、シミュレーションを活用した気孔サイズ分布の評価から、粉体によって異なる焼結緻密化挙動が予測できるようになった。 本シミュレーションに用いた焼結モデルと計算手法は従来の焼結シミュレーションとは全く異なる独自のものであり、気孔サイズ分布およびその力学関係を考慮した焼結シミュレーションとしては初めての成果である。粉体の焼結緻密化挙動は非常に複雑な現象で、未だに精度よく説明できる理論が無い中で、気孔サイズ分布に注目した本シミュレーションは、粉体によって異なる焼結特性が評価できる手法である。 2.レーザー用ナノセラミックスの開発: Yb添加C-FAPおよびS-FAPレーザーセラミックスの開発を試みた。液相法で合成したナノ粉末を通電加圧焼結法で低温焼結し、平均粒径100-150nmの透明セラミックスを作製した。その透過率は理論値の95%以上である。Yb:S-FAPの場合は、合成したナノ粉末を強磁場下で配向成形体を作製した後、通電加圧焼結法で透明セラミックスを作製したが、期待した効果は得られていない。Ybが結晶粒内に均一に固溶されていないことが考えられる。透明Yb:S-FAPの焼結は非常に難しく、そのレーザー発振に関してはまだ成功例がない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.開発した焼結シミュレーションシステムは、従来にはできなかった、粉体の依存する焼結緻密化挙動が評価できる唯一の手法である。昨年度は焼結モデルの一部修正により実験結果とも一致するようになり、順調に進んでいる。 2.レーザー用ナノセラミックスの開発も順調に進んでいる。結果的には期待に及んでいないが、透明焼結が難しいYb:S-FAPセラミックスの組織微細化・透明化手法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.粉体に依存する焼結緻密化挙動が評価できるよう、焼結モデルおよびシミュレーションシステムの修正を行う。特に、粒成長の効果を取り入れたシミュレーションを行い、予測の精度を上げる。今までのシミュレーションによると、緻密化速度と気孔の表面積は粒成長の影響をほとんど受けないので、これらの特性から気孔サイズ分布を評価し、これに粒成長の効果を取り入れる形で、全体的な焼結緻密化挙動が評価できる手法の確立を目指す。さらに、過去に報告された実験的な焼結挙動が説明できるか、本シミュレーションシステムの適用を行う。 2. Yb:S-FAPナノ粉体の合成においては、粒子の形状や大きさを制御した最適手法を探索すると同時に、強磁場を用いた配向制御を試み、レーザー発振できる透明体の作製を目指す
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