2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of dopant environment analysis method using beam-rocking transmission electron microscopy
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20K05088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 真弘 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 講師 (60646529)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 蛍光X線分析 / 電子チャネリング効果 / ALCHEMI法 / セラミックス / ドーパント / 占有サイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,透過電子顕微鏡(TEM)における電子ビームロッキングを利用した結晶材料中の不純物原子(ドーパント)占有サイト分析法(ALCHEMI法,HARECXS/HARECES法)を発展させ,機能材料中の微量ドーパント周辺の局所原子配列や化学状態の変調を堅牢に定量解析する方法を確立・応用することである. 2021年度は,昨年度の引き続きとして各種微量ドーパントを添加されたチタン酸バリウム(BaTiO3)強誘電体セラミックスへの本手法の適用を軸として,ドーパントの原子変位の解析をターゲットに本手法の問題点の洗い出しや改善を進めた.原子変位解析は昨年度にその可能性が示唆されていたように本手法の適用対象の一つの好例であり,本年度の取り組みにおいてドーパント種毎の原子変位方向などが明らかにできた.また,微小領域を狙った計測スキームも洗練化され,実デバイス試料における局所測定が問題なく実施できる段階となった.その一方で,現時点では定量解析としての精度が不十分であり,次年度(最終年度)においては計測データから物性情報を取り出すデータ解析の改善・洗練化を達成することが重要な課題となる. 次年度(最終年度)には,この明らかになった問題について,これまでに開発した実験スキームによる多彩な実験データと自作計算コードによる動力学的弾性/非弾性電子散乱理論計算との比較検討を通して上記の課題解決に注力していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では最終年度に実材料分析への応用を計画していたが,それを前倒しして局所領域を狙った電子ビームロッキング計測スキームの改善・洗練化と並行して応用解析を進めた.その結果として,昨年度示唆されていた原子変位解析法としての応用が進み,いくつかの重要な知見が得られた.その一方で,データ解析方法の部分の開発が後ろ倒しとなっており,解析精度などの面で不十分な点が残っている.しかし,これらは計画の順序を入れ替えて進行しているだけであり,未達部分については次年度に注力することで最終目的に向けて研究計画を順調に進められる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(2022年度)は,これまでの実施項目において見えてきた課題である計測データから定量的に物性情報を取り出すための解析スキームの改善・洗練化に注力する必要がある.これには,これまでにいくつかの実用材料から得た計測データ(実験データ)と開発済みの理論計算コードによる計算データを組み合わせて所望する物性情報を取り出す方法を模索・構築していく予定である.
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Causes of Carryover |
当初計画では,局所領域測定を実現するために柔軟な電子ビーム制御を目的とした電子顕微鏡制御プラグインを追加導入やデータ解析のための計算環境の増強を予定していた.しかし,前者は既存設備で対応できることがわかり,コロナ禍の影響により予定していた学会発表のための旅費の一部が不要となった.また,昨年度はじめの段階では,昨年度内に計算環境の増強を行う予定であったが,昨年度は実験研究に注力するためこのための予算執行が遅れた.これらにより生じた繰り越し金は,時期は遅れたが予定通り計算環境のスペックアップに利用させて頂きたい.
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Research Products
(7 results)