2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of impregnation and damage progress model of composite material using recycled carbon fiber spun yarn
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20K05099
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
仲井 朝美 岐阜大学, 工学部, 教授 (10324724)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リサイクル炭素繊維 / 紡績技術 / 連続繊維化 / 表面処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リサイクルにより短繊維化された炭素繊維(CF)を、紡績技術により連続繊維 (糸)として中間材料化、さらに糸から織物、組物として基材化し、連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料を作製することであり、そのために必要な基礎的理論を構築することである。リサイクルCFは不織布等への適用にとどまっており、炭素繊維の優れた性能を十分に活かせていない。そこで、より高度な用途展開ができる連続繊維化に着目し、性能として優位となる用途展開を狙い、現在国内研究機関等で取組みがなされている廃CFRPからのCF分離・回収技術と連動させ、マテリアルリサイクルシステムの構築に繋げるものである。一方、不連続かつ撚り構造を有する炭素繊維集合体に対する含浸・損傷理論は確立されていないため、これらの理論体系を構築し、リサイクル連続繊維を用いた複合材料の成形性・テキスタイル加工性・力学的特性を考慮したモデル化をおこなう。 2020年度においては、リサイクル短繊維の連続繊維化技術の確立を目的として基礎技術の構築をおこなった。検討した連続繊維とは、炭素繊維と樹脂繊維(成形時にマトリックスとなる)との混合紡績を前提としている。紡績技術については大型設備が必要になるため、協力企業と共同開発をおこなった。ここでいう連続繊維化技術の確立とは、繊維構造の最適化および表面処理の最適化を意味している。繊維構造の最適化において、具体的な検討項目として、まず、リサイクル繊維の繊維長を検討した。次に、樹脂繊維との混紡率、撚り角度といった紡績糸の繊維構造を検討した。その際、リサイクル繊維に施す表面処理が重要な役割を担うため、同時に表面処理の影響も検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
紡績技術については大型設備が必要になるため、協力企業と共同開発をおこなった。当該協力企業において、バージン炭素繊維を用いた紡績糸の作製技術についてはすでに完成しているが、今回あらたにリサイクル炭素繊維と樹脂繊維との混合紡績にあたり、新たな設備導入等が必要であった。海外から輸入したため、コロナ禍で、設備の導入が大幅に遅れた。そのため、今年度はリサイクル短繊維の連続繊維化技術の確立を目的としたが、その基礎技術の構築に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2020年度計画の遅れについては、2021年度上半期にて取り戻し、リサイクル短繊維の連続繊維化技術の確立をおこなう。 さらに、2021年度においては、リサイクル連続繊維の基材化技術の確立をおこなう。リサイクルにより短繊維化されたCFを、紡績技術により連続繊維として中間材料化することにより、織物等の基材化が可能となる。一方、これまで不連続繊維を用いたテキスタイル加工はほとんどおこなわれておらず、加工時の繊維の損傷や表面処理がテキスタイル加工性に及ぼす影響については明らかとなっていない。本研究では、不連続かつ撚り構造を有する炭素繊維集合体を用いたテキスタイル加工性の評価に基づき、リサイクル炭素繊維の構造および表面処理の最適化をおこなう。同時に、リサイクル連続繊維を用いた成形技術の確立をおこなう。不連続かつ撚り構造を有する炭素繊維集合体を用いた複合材料に対する含浸理論は確立されていない。また、成形時に負荷される圧力や繊維方向軸力に対するリサイクル連続繊維の構造変化も考慮する必要もある。さらに、熱処理を受けたリサイクル炭素繊維は、その表面性状が異なっており、表面処理の影響もバージン材とは異なる可能性がある。まず、リサイクル連続繊維を用いた成形条件(成形圧力・温度・時間)と含浸性・繊維配向状態の関係を明らかにする。具体的には、基本構造である一方向材料を成形対象とし、紡績糸の構造、材料の組合せ、表面処理を変化させた系に対して検討する。これらの結果に基づき、リサイクル連続繊維を用いた成形条件の最適化および成形技術を確立する。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】において記載したように、コロナ禍において協力企業における設備導入が大幅に遅れたため、2020年度の進捗状況に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。2020年度末に装置が導入されたため、2020年度計画の遅れについては、2021年度上半期にて取り戻す予定となっており、経費についても使用する。
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