2021 Fiscal Year Research-status Report
Nanostructure creation of Fe2VAl based alloy by introduction of nitride interface for thermoelectric application
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20K05100
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 厚介 九州工業大学, 先端基幹研究センター環境エネルギー融合研究センター, 特任助教 (40617007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホイスラー合金 / 熱電変換材料 / ナノ複合化 / 窒化処理 / メカニカルグラインディング |
Outline of Annual Research Achievements |
安価で豊富な元素から構成されるホイスラー型Fe2VAl系合金の結晶粒表面近傍に原子の拡散防止膜として窒化物を導入し、加熱による粒成長の抑制と異相界面導入による熱伝導率の低減を同時に達成することを目的とした。昨年度はFe2VAl系合金にAlN界面が導入できたため、本年度をFe2VAl系合金焼結体中の結晶粒微細化およびAlN界面厚さの低減を実施するため、焼結前Fe2V1+xAl1.12-x粉体の微粒化を実施した。 アーク溶解法を用いてFe2V0.92Al1.20を作製した後、38μm以下に粉砕した。この粉末をメカニカルグライディング法により粉砕した後、アンモニアガス流通下にて加熱し複合粒子を得た。この複合粒子を放電プラズマ焼結機を用いて焼結体を得た。得られた試料について熱電特性を評価し、微細組織観察を行った。 メカニカルグラインディング(MG)後の粉体を用いた焼結体中のFe2V0.92Al1.08の結晶粒サイズは数10μmオーダーから10μm以下と低減することができ、熱伝導率は5%程度低減したものの、ゼーベック係数が大きく低下してしまい、母相の組成が変化していることが示唆された。実際に組成分析を行った結果、MGによってAlが大きく抜けることがわかり、窒化処理とMGの両方において組成を考慮する必要があることがわかった。また、MG法のみではFe2V1+xAl1-xの延性が原因でサブミクロンオーダーまで粉砕することは困難であることも確認された。一方で、上記MG法を用いて粉砕したFe2V1+xAl1.12-x粉末を用いて窒化処理後に焼結した材料では、AlNが焼結時の粒成長を抑制できることは確認されたため、次年度ではさらなる結晶粒微細化および母相の組成を考慮したプロセスを検討し、高性能Fe2VAl系合金を開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fe2V0.92Al1.08粉末を微細化するために湿式ボールミルによるメカニカルグラインディング法(MG法)を適用し、MG条件(公転回転数、時間、ボールサイズ)を検討した。MG後のFe2V0.92Al1.08粉末の粒径は低減するものの、合金中の組成がずれることがわかり、焼結後の電子輸送特性が低くなることがわかった。そのため、MGによる組成ずれを考慮し仕込み組成を調整することによって、焼結体中のFe2V0.92Al1.08の結晶粒サイズは数10μmオーダーから10μm以下へと低減することができ、焼結後の特性を維持することができたため、順調に進展したと言える。しかし、単純なMGのみでは金属が持つ延性によりこれ以上の粉砕は困難であったためさらに結晶粒径を低減させるには延性を消失させた状態で粉砕する必要があり、次年度ではその解決方法としてクライオミリングを取り入れる。 一方で、窒化処理を施したMG後のFe2V0.92Al1.08粉末ではさらに組成が大きくずれることが課題として生じたため、次年度では窒化処理条件の再検討を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
目的の組織および特性を達成するためには、1. Fe2V1+xAl1-xのさらなる結晶粒微細化、2. 窒化物界面相の膜厚の低減、3. 組成の調整が必要である。1.ではクライオミリングを取り入れて延性の影響を低下させることによって、さらなる結晶粒微細化を実施し、サブミクロンオーダーの結晶サイズを目指す。2.では窒化処理条件を現状の条件から緩和(加熱温度の低減と時間の短縮)することによって膜厚制御を行う。3.では上記の条件が決定した後、仕込み組成を調整し、解決する。 以上、結晶粒微細化、窒化処理条件再検討、組成制御を実施することによって、Fe2V1+xAl1-x合金中に窒化物界面を導入し、電子輸送特性を維持しながらフォノン散乱を増強させ、粒成長が抑制できる高性能なFe2VAl系合金の開発を実施する。
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Causes of Carryover |
窒化処理の条件が緩和されたことによって予定していたアンモニアガス使用量よりも少量の使用で済んだこと、コロナ禍における学会のオンライン化による旅費を使用しなかったことにより、当該年度の使用は予定使用額より少額となった。 次年度は当初の計画に加え、この差額分を各分析費用に充て、複合界面における微細構造解析を充実させていく。
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Research Products
(8 results)