2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of micro / nano particle phenomena in welding process of carbon fiber reinforced thermoplastics near the fiber / polymer interface
Project/Area Number |
20K05120
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
西籔 和明 近畿大学, 理工学部, 教授 (30208235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 大貴 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70792216)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱可塑性CFRP / 融着接合 / 接合界面 / 超音波融着接合 / 引張せん断強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(熱可塑性CFRP)の繊維/樹脂界面近傍での融着接合過程の現象解明を目的とし,融着接合部に添加するマイクロ・ナノ粒子の影響を解明する.具体的には,研究代表者がこれまで独自に取り組んできた金属粉末冶金技術および樹脂射出成形技術を融合したマイクロ・ナノプロセッシングの研究成果を,研究分担者が独自に取り組んできた熱可塑性複合材料の各種融着接合におけるプロセス研究の成果に応用し,分野横断型の学際的な研究を目指している. 本計画では,熱可塑性複合材料における抵抗融着や誘導融着,超音波融着等の加熱手法の違いや,加熱・加圧・冷却条件などの融着過程に共通する種々の条件,および融着界面におけるマイクロ・ナノサイズの粒子や繊維およびマイクロ構造体が融着接合過程での繊維/樹脂界面近傍に及ぼす現象を探求する. 本研究目的を達成するため,本年度は熱可塑性CFRPを融着接合する際に不可欠となるエネルギーダイレクタ(超音波融着)や抵抗発熱体(抵抗融着)等のマイクロ・ナノ粒子添加融着層の創製を試みた.具体的には,単層または多層カーボンナノチューブ(CNT)を,任意の割合でポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂に添加し,新たに導入した自転公転式真空脱泡ミキサーや微量混練押出成形機および導入済みの二軸混練機などを用いて,CNT/PPS複合材を創製した後,真空加熱プレス成形機を用いてフィルム化を行った.作製したCNT/PPSフィルムを超音波融着接合時のエネルギーダイレクタとして用いて,織物CF/PPS積層板の融着接合を行った結果,PPS樹脂に対してCNTを0.1-0.3wt%添加した場合では,引張せん断強度が向上することが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的を達成するため,熱可塑性複合材料の融着過程の現象解明において,4つの研究項目に分類し,“熱可塑性CFRPの繊維/樹脂界面近傍の融着過程のマイクロ・ナノ粒子の現象”を実験および解析により解明することとしている. 本年度は,“融着層および繊維/樹脂界面へのマイクロ・ナノ構造の創製”を掲げており,融着接合層にカーボンナノチューブ(CNT)を添加し,マイクロ・ナノレベルで強化することで,融着接合部の引張せん断強度を向上可能なことを見出した.一方で,強度発現のメカニズムやCNT添加による樹脂の結晶化度への影響などについては,詳細に解明できていない.これらについては,当初の予定通り,来年度以降に熱分析や微視観察を行いながら解明していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,“融着層表面へのマイクロ構造体の創製と効果の検証”を行うため,ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術等によって製造された微細なマイクロ構造体を有する金型の表面に,エレクトロスピニング法によりナノファイバーを紡糸し,融着層となる樹脂フィルムを創製する.その際,SEM観察や元素分析,融着層の熱分析測定を行い,微細構造の転写性や熱的特性を評価する. また,“プロセスモニタリングによる融着過程の普遍的な影響因子の特定”を行うために,作製した融着層を用いて,超音波融着や抵抗融着および誘導融着等を試み,プロセスモニタリングしながら融着部の加熱溶融現象を観察する.その際,加熱・加圧・冷却条件等の加熱溶融現象に及ぼす普遍的な影響因子を明らかにする.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,研究遂行に必要な治具等の消耗品の納期が年度を超える恐れがあったため,翌年度分として使用することとした.
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Research Products
(3 results)