2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Diffusion-Bonding Technique for SiC CMC using the principle of TLP-Bonding
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20K05124
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
尾崎 友厚 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (50736395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 大 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (80217322)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭化ケイ素 / CMC / 拡散接合 / 金属中間層 / 透過型電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭化ケイ素(SiC)繊維結合セラミックスは構造材として優れた高温強度、耐食性、熱安定性を持つため、航空宇宙産業やエネルギー分野での応用が期待されている。しかし、加工や大型化が難しく、有効な接合技術の確立が急務となっている。我々はSiC繊維結合セラミックスの拡散接合処理について研究してきた結果、界面で液相拡散接合(TLP接合)が発現した接合体は高い接合強度を示すことが分かってきた。そこで、SiC系材料をターゲットとした液相拡散(TLP)接合について調査した。 2021年度は中間層を形成するための金属ペーストの作製および接合母材の密度が接合界面に与える影響についての調査を実施した。金属ペーストの作製については、CuとTiの混合粉末に対して、適切な溶媒とバインダーを選定し、金属が分離せず、安定して母材に塗布可能な金属ペーストを開発した。こちらのペーストはホットプレス処理の際に、溶媒の揮発やバインダーの分解、気化が起こると接合品質の低下が予想されるため、ホットプレス処理の際の揮発が少なくなるような溶媒とバインダーを選定した。作製したバインダーを用いてSiCの接合体をホットプレス処理により作製した結果、堅牢なSiC接合体が得られた。また、その接合界面をSEM観察した結果、TLP接合プロセスが起こったと考えられる界面組織が観察された。 接合母材を緻密体と多孔質体で検討し、母材の密度が接合界面に与える影響について明らかにした。母材を緻密体とした場合、接合時に形成される金属液相は母材への逃げ道が無いため、処理後の接合界面は分厚くなるが、開気孔を持つ多孔質体を母材とした場合、金属液相が開気孔を通じて界面から母材に流出し、薄い接合界面を形成することが確認された。なお、以上の成果は日本セラミックス協会の秋季大会、および国際会議、米国セラミックス学会、ICACC2022で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究から、活性金属を中間層に用いたSiC繊維結合セラミックスの拡散接合処理では、液相を介して界面の接合反応が進行する液相拡散接合(TLP接合)が発現すると高い接合強度が得られることが明らかとなってきている。中間金属層としてCuとTiの金属箔を組み合わせて用いた例でTLP接合現象が確認されているが、Cu/Ti比の変更による接合組織と強度への影響や、TLP接合に利用できる他の中間層金属など、明らかになっていないことは多い。これまではNASAグレンリサーチセンターにて接合処理された試料の提供を受けて接合部の組織評価を実施してきたが、2020年度は所属である大阪産業技術研究所内でSiC系材料の接合処理ができる環境を立ち上げ、Ti/Cu金属を中間層に用いてSiC接合体を作製し、SiC系材料に対しての拡散接合処理の技術を確立した。 2021年度は中間層を形成するための金属ペーストの作製および接合母材の密度が接合界面に与える影響についての調査を実施した。金属粉末を用いた接合用金属ペーストの作製については、中間層の組成制御を実施する場合、中間層に金属箔を用いたこれまでの方法では金属配合比の制御を薄い厚みで実施することが難しい。配合比の調整が容易な金属ペーストの作製方法を確立することで金属箔の条件の制約を受けずに中間層金属の配合比を精確に制御することが可能となる。また、中間層をペースト化することで接合の前処理プロセスの簡略化や本技術のろう付けへの展開など工業的な有用性も期待される。本年度はCuとTiの混合粉末に対して、適切な溶媒とバインダーを選定し、金属が分離せず、安定して母材に塗布可能な金属ペーストを開発することに成功した。また、このペーストを用いて、SiC母材に対してTLP接合現象が発現し、堅牢なSiC接合体が得られることも確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果として、安定して母材に塗布可能なCu/Ti系金属ペーストを開発することに成功し、このペーストを用いることで金属箔の条件の制約を受けずに中間層金属の配合比を精確に制御することが可能となった。今後は、配合比の異なる金属ペーストを作製し、配合比による接合組織と強度への影響について詳細に調査することで、高い接合強度を示す最適なCu/Ti比を探索するとともに、金属の二元系状態図などと関連させてTLP接合現象を明らかにしていく。また、中間層をペースト化することで接合の前処理プロセスの簡略化や本技術のろう付けへの展開など工業的な有用性も期待される。本研究ではCu/Ti系の金属中間層が調査の中心であるがCu,Ti以外のTLP接合現象を発現する中間層元素の組合せを探索することもTLP接合現象の理解に重要である。Cu/Ti系で用いた金属ペースト作製技術を活用し、他の金属元素のペーストも作製することでSiC系基材の接合プロセスに適用し、接合界面を観察することでTLP接合現象の発現の有無を調べるとともに、Cu/Ti系以外の金属中間層の可能性について調査する。 また、接合強度の評価が十分に実施できていないため接合体の接合強度試験を進める。これまでメタルボンドを用いた引張試験を試みたが、接合体の接合強度はメタルボンドの接着強度より高く、接合強度の定量化は出来ていなかった。そこで接合面積を制御した接合体を作製し、引張試験による接合強度の評価を試みる。また、押し込みせん断試験の実施による接合強度の評価についても検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、学会参加などで計画していた出張ができず、旅費予算の執行が困難であった。次年度への繰り越し金は、引き続き出張は困難と考えられるため、主に物品費での使用を計画している。
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Remarks |
本研究課題はGATSのM, Singh氏が過去に企画した研究テーマに申請者が参加することで着想を得たものであり、試料提供や測定データの一部を米国の研究機関よ り提供を受けて実施している。
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