2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05135
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤井 伸平 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (90189994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 好古 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90649782)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電子構造計算 / 構造転移障壁 / 磁気特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論班は、早々ワークステーションを導入し、Cu置換系((Mn1-xCux)CoGeとMn(Co1-xCux)Ge)の計算を開始した。これまでに我々が得ているFe置換系((Mn1-xFex)CoGeとMn(Co1-xFex)Ge)の格子定数や原子位置を用いての計算から開始し格子定数や原子位置の最適化(構造最適化)を実行中である。構造最適化の前段階ではあるが、六方構造と斜方構造についてのエネルギーの比較から、Cu置換系はFe置換系に比べ六方構造をより効果的に安定化することを示唆するようなデータが得られており、Cu置換系とFe置換系での差異が得られるものと期待している。 これまで我々が扱ってきたFe原子は磁性原子であるのに対して、Cuは非磁性原子であることから、置換原子の磁気的な性質が置換系に与える効果についても有用な知見が得られると期待している。Fe置換系に対して行ってきた構造障壁を評価するための方法、Fe置換系で示唆されていたFe原子のMnサイトとCoサイトの不規則置換を確かめる方法についても検討を開始している。 実験班は、MnCoGeのFe置換効果として、Coを完全にFeで置換したMnFeGeについて、熱処理温度の影響を検討した。 MnFeGeの熱処理温度を773 Kから1173 Kまで4種類の試料を作製し、X線回折測定によって格子定数を評価した。773 K時効処理試料を除き、熱処理温度の上昇とともに、格子の体積は膨張する傾向が得られた。この傾向は、MnCoGeの熱処理効果と同様である。現在、メスバウア分光測定によって磁気特性の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fe置換系についての計算に加えてCu置換系の計算もあらたに進行中であること、また、メスバウアー分光測定等の実験も進行中であることがあげられる。さらに、これらにより有益なデータが出つつあることも理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論班は、Cu置換系の構造障壁の評価に関係する計算に取りかかる。具体的には、2つの安定構造(六方構造と斜方構造)のあいだに仮想的ないくつかの構造を作り、これらの全エネルギーを計算し比較することにより構造障壁の評価をおこなう。Fe置換系の計算も継続して行い、データの蓄積を行う。Cu置換系とFe置換系のデータが得られれば、置換原子による差異を見出すことが可能となる。 実験班は、FeでMnやCoを置換したMnCo(Fe)Ge合金の合成を行い、Feのサイト占有率やその磁気特性への影響について、メスバウア分光測定や磁化測定による評価を行う。(これは、Fe原子によるMnCoGeの元素置換では、置換量だけでなく、六方構造と斜方構造におけるサイト占有率やサイト選択性もまた、物性に影響を及ぼすという考えに基づくものである。)
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Causes of Carryover |
参加を予定していた関連学会がオンライン開催となったため旅費の支出がなくなったことが最大の理由である。今後は、関連学会がオンライン開催や中止になった場合は、古くなった機器の整備等に使用する予定である。
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