2022 Fiscal Year Annual Research Report
延性二相合金におけるクリープ特性の重畳とその組織因子による影響
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20K05137
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高木 秀有 日本大学, 工学部, 准教授 (40409040)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クリープ / 二相合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,組織形態を単純化した二相合金,具体的には,純Al(母相)でAl合金(強化相)を挟み込んでARB(Accumulative roll bonding)で積層した連続繊維状態の二相合金を作製し,母相と強化相の体積率及び強度比を系統的に変えた試料に対する引張試験とクリープ試験を実施した.室温の引張試験によると,強化相の体積率を0,17,23,33,43,100%とした場合,体積率と最大応力には良い比例関係が見られた.この結果は,計算機実験などによる報告例と良く一致する. 次に,本研究の目的である高温におけるクリープ挙動に対して,母相と強化相がどのような役割を担うかについて調査した.上述した試料及びいくつかの試験温度で引張試験およびクリープ試験を実施した.ここでは,強化相の体積率が33%程度であり,試験温度が300℃の結果についてのみ説明する.クリープ試験から得た応力と最小クリープ速度の実験データは,それぞれの母相と強化相から応力の複合則で計算された結果と良く一致した.また,母相あるいは強化相の変形律速機構が応力条件で異なる場合,その機構の変化は二相合金の結果にも顕著に表れることが示された. 上記の結果は,クリープが顕著に生じる高温域においても,二相合金の変形は母相と強化相のそれぞれの変形が重畳されて現出することを示している.この結果は,複相かされた耐熱材料などのクリープ特性を評価するとき,強化相などの複相率が比較的高い場合は,その複相材(耐熱材料)特有のクリープ特性であるというより,各相を構成しているそれぞれの特性が重なり合っているだけであること,に注意する必要があることを示している.
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