2021 Fiscal Year Research-status Report
X線CTを援用したシリアルセクショニングによる微細組織の定量評価手法の確立
Project/Area Number |
20K05146
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
楠本 賢太 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (30764998)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一道 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60206191)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Erosive Wear / High chromium / Multi Alloys / Morphology of carbides |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,耐熱耐摩耗材料の開発を目指して,シリアルセクショニングを援用した炭化物の形態および分布を三次元観察し,定量評価を行うことで,合金設計および評価手法の確立を目的としている. 昨年度の成果として,高クロム鋳鉄では,粒子の連続衝突により,共晶炭化物に亀裂が生じ,最終的に基地組織の塑性流動に追従できなくなり,摩耗が進展することを明らかにし,炭化物サイズが摩耗特性に及ぼす影響を明確にした. 当該年度は,各種合金元素添加により形成された炭化物は様々な形状を示すため,炭化物形状が耐エロージョン摩耗性に影響を与える影響を調査した.供試材としてCr含有量を27mass %,炭素(C)含有量を3%とした高クロム鋳鉄を基本組成とし,複数の炭化物形成元素を含有させた多合金系白鋳鉄を溶製した.本鋳鉄系は粗大なCr系共晶炭化物の周辺にMoやW系共晶炭化物が晶出する組織形態となる. 摩耗試験の結果,多合金系白鋳鉄は最も高い耐摩耗性を示した.これは,板状のCr系共晶炭化物が摩耗を抑制するとともに,Cr系共晶炭化物の周囲にMo系共晶炭化物が根を張るように晶出し,さらには熱処理によって析出された微細な二次炭化物がアンカー効果の役割を果たし,塑性変形を抑制したためである.これにより,Cr系共晶炭化物の脱落頻度が低減された. 併せて,各試料に対して走査型電子顕微鏡による微視観察,X線回折,硬度測定,X線CTによる炭化物分布調査を進め,以上の過程で得られた成果をとりまとめて,成果発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的として掲げた耐熱耐摩耗鋳造材料の晶出炭化物の種類と量の制御技術確立や耐熱耐摩耗鋳造材料の摩耗特性評価において,多数の対外発表成果を得ているため.さらに,X線CTによる評価に取り掛かることができ,順調に進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度の2022年度は,ナノCTによる炭化物形態の可視化を行い,炭化物の形態や分布が耐摩耗性に与える影響について検討する予定である.また,昨年度までの結果を整理し,再実験など必要な追加実験を行い,研究成果のまとめを行う.
|
Causes of Carryover |
有効に使用するには金額が小さかったため,次年度に繰り越すこととした. 次年度の助成金額と合算することで有効に使用する.
|
Research Products
(10 results)