2022 Fiscal Year Annual Research Report
X線CTを援用したシリアルセクショニングによる微細組織の定量評価手法の確立
Project/Area Number |
20K05146
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
楠本 賢太 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30764998)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一道 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60206191)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | High Cr / Multicomponent / Titanium / Wear resistance / Carbide refinement / X ray CT |
Outline of Annual Research Achievements |
多合金白鋳鉄(MWCI)は,MC,M2C,M7C3などの非常に硬い炭化物が析出するため,優れた耐摩耗特性を有する.しかし,炭化物量を高めることで,MWCIの耐摩耗性を向上させることは可能である. 今年度は,一昨年および昨年度に溶製した試料の種々の炭化物形態を詳細に明らかにするために,ナノCTを用いて調査した.目的の炭化物サイズの粒度分布が最低6~9μmであるため,これをとらえれるあたりの分解能で撮影する必要があり,1個当たりの撮影時間は13時間となった.得られたCTデータからも,Ti量が増加するとM7C3炭化物の平均サイズは有意に小さくなることが明確に観察された.この結果から,白鋳鉄に添加される遷移金属の量が多くても,必ずしも炭化物量の増加や炭化物種の増加を保証するものではないと判断できる.しかしながら,これは各材料の組織中のC濃度にもかなり影響される. これらすべての組織条件が材料の硬度特性および摩耗挙動に及ぼす影響を調べるために,ビッカース硬度測定および投射材として粒径の異なる2種類の珪砂を用いて摩耗試験を実施した.その結果,これらの新合金(0Ti,1Ti,2Ti)の耐摩耗性は,硬度が低いため,小粒の珪砂ではMWCIよりも低いことがわかった.しかし,大粒の珪砂では条件が異なり,MWCIの耐摩耗性は0Tiおよび1Tiの試料よりも低くなる.また,TiCの析出は,M7C3炭化物のサイズを効果的に微細化し,その割れ傾向を低下させた.したがって,1Tiの耐摩耗性は,硬度は低いものの,0Tiと同等である.しかし,Tiを1wt%以上添加すると,硬度と炭化物量が低下するため,耐摩耗性は顕著に著しく低下した. したがって,合金の耐摩耗特性は硬度だけでなく,微細構造成分(炭化物の種類,大きさ,体積率)および投射材である珪砂の粒径にも影響されることが明らかとなった.
|
Research Products
(9 results)