2021 Fiscal Year Research-status Report
易加工性と軽量性の兼備を指向したFCC型マグネシウム合金の創製
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20K05149
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
糸井 貴臣 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (50333670)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 加工性 / 組織制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は多元化による密度の低下を念頭に置き、Alを添加したMg-Al-In合金を作製した。Mg100-x-yInxAlyにおいて、(x=17~25at.%,y=0~15at.%)の組成範囲で鋳造法により作製した。熱処理はいずれの合金も673Kで50時間とした。Mg78In17Al5at.%合金において、X線回折測定を行った結果、HCP相(α-Mg相)に加えFCC相が観察され、これらの2相組織であることがわかった。Alを含まないMg83In17at.%合金では状態図からも、実験的にもHCP相の単相であったことから、MgをAlで置換することでFCC相の生成範囲が拡大することがわかった。SEM観察を行ったところ、FCC相の面積率は55%でありEDS分析の結果、FCC相は4~5at.%のAlを含むことが明らかとなった。密度は2.73g/cm3である。室温にて圧延特性を調べた結果、55%程度の圧延が可能であり、Alの添加により密度を大きく増加させることなく圧延特性を改善できた。圧延後の硬さ値は圧延前の62HVから120HVまで増加した。In濃度を低下させたMg80In10Al10at.%合金(密度は2.39g/cm3)ではHCP相単相となり、FCC相の生成にはIn添加が効果的であったため、Mg65In25Al10at.%合金(密度は3.22g/cm3)を作製したところ、FCC相の面積率は85%となり、65%の室温圧延が可能であった。さらに、組成を調整したところ、Mg77In13Al9at.%合金(密度は2.62g/cm3でAlより小さい)ではFCCの面積率は34%であり、室温で45%の圧延圧延が可能であった。以上の結果からMg-In-Al系合金は密度に配慮しながら加工性の向上を図ることのできる合金であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において、Mg-In合金にAlを添加することで、FCC相を有するMg-In-Al合金が作製できた。Alを添加すると、Mg-In合金のFCC相の生成範囲が拡大することもわかり、作製したMg-In-Al合金でFCC相(Mg-In-Alの3元固溶体)が生成すると、Mg-In合金と同様に室温での圧延も可能であることがわかった。Alは密度が2.70 g/cm3であり、密度の低下を狙った添加元素としても適しており、今年度で易加工性と密度の低減を狙える基礎的な合金が作製できた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究で、Mg-In合金へのAlの添加が易加工性と密度の低減のための合金にとって重要であるとわかった。試料の作製方法はMg-In合金と同様で可能である。今年度はMg-In合金に対してAl添加と熱処理によるFCC相の増加のための組織制御を試みる。その後、本合金の難燃性を付与するために、CaやYを添加元素として選択し、合金の難燃化を図り、さらに圧延した板材について、曲げ加工性について明らかにすることを目的とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額がないため、記入しない。
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