2020 Fiscal Year Research-status Report
固体セラミックス粒子積層成膜による可視光応答型光触媒膜形成技術の確立
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20K05152
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
山田 基宏 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00432295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コールドスプレー / 酸化チタン / 光触媒 / 接合メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の研究によって、コールドスプレー法による酸化チタン成膜において、得られる皮膜の密着強度が基材の材質および温度によって異なることが明らかとなっている。2020年度の研究では、コールドスプレー法による酸化チタン成膜において、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、炭素鋼およびクロムの各基材を用い、基材種および成膜前に熱処理を施した際の熱処理温度が皮膜密着強度に与える影響を調査した。その結果、銅とアルミニウム基材では熱処理温度の上昇と共に密着強度が低下する傾向であったのに対し、炭素鋼では上昇後に低下、ステンレス鋼とクロムでは1000℃程度の熱処理温度まで上昇する傾向が見られた。熱処理と共に密着強度が低下した銅とアルミニウム基材では、全体的にアルミニウム基材の密着強度が高く、従来のコールドスプレー法による金属成膜と同様に、粒子衝突時に基材表面の酸化物が除去されることによる金属新生面の形成が密着強度の向上に寄与していると考えられる。一方、ステンレス鋼およびクロム基材において、X線光電子分光分析等の調査から、基材表面に酸化物が介在すること、特にクロム水酸化物が形成されていることが密着強度向上に寄与していることが示唆された。これは同じ鋼材の炭素鋼では熱処理温度と共に密着強度が向上しなかったとこからも確認できる。これらの結果から、コールドスプレー法で得られる酸化チタン皮膜の密着性には機械的締結等の物理的因子よりも界面での化学的結合が大きく関与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染対策により実験を行えない期間があったが、コールドスプレー法における酸化チタン粒子の各種基材への接合メカニズムの調査に関しては研究を進めることができた。特に基材の材質およびその表面酸化物によって皮膜密着強度に影響を与えることが明らかになったことから、達成度としては「おおむね順調に新手インしている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
コールドスプレー法による酸化チタン成膜における界面での付着メカニズムの調査を継続して進めていくと共に、もう一つの課題である可視光応答酸化チタン皮膜の形成およびそのメカニズム調査を進めていく。具体的には成膜時のガス温度の上昇に伴い、酸化チタン皮膜の色が白色から黄色に変化する。この色が変化することによる光触媒特性の変化を評価していくと共に、ガス温度によって色が変化する原因を調査する。特に、酸化チタンの酸素欠損に着目し、酸素欠損の形成に伴うバンドギャップの変化に注目して調査を進める。また、可視光応答型光触媒酸化チタンには銅担持を用いるものもある。そこで、原料粉末として酸化チタンと銅微粒子を混合することによる可視光応答化や皮膜の機械特性の向上についても検証を行っていく。
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Research Products
(5 results)