2021 Fiscal Year Research-status Report
温度分布と微視組織に起因するひずみ集中を考慮した溶接割れ感受性評価手法の構築
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20K05154
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡野 成威 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00467531)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロセスーメカニックス統合モデル / 溶融凝固割れ / ひずみ挙動 / 溶接諸条件依存性 / その場観察技術 / 結晶塑性有限要素法 / その場観察技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスバレストレイン試験における溶融凝固過程でのひずみ挙動に対する溶接温度場の影響に関して、実験その場観察技術と溶接プロセス統合シミュレーションモデルによる熱弾塑性力学解析モデルによって詳細に検討を実施することができた。これらの検討を通じて、従来までに用いられている公称ひずみ(材料力学的に求められる梁の曲げ理論に基づくひずみ)と比較して、溶接中の温度分布が存在する場合のひずみ挙動をより詳細に定量化することができた。特筆すべき点として、実験その場観察技術による結果と溶接プロセスとの統合モデルによる高度溶接力学シミュレーション技術による結果が定量的にも極めてよく一致したことが挙げられる。以上の検討を通して、これまでの従来研究にないレベルで溶接中の溶融凝固過程でのひずみ挙動に関する正しい理解を得ることができた。 以上に加えて、溶接部ミクロ組織レベルでの弾性・塑性の結晶依存性を考慮した評価技術に関して検討を加えた。溶接熱弾塑性解析によって得られるマクロな力学特性を基に、結晶塑性有限要素解析手法によるミクロレベルの応力場・ひずみ場を評価できる手法を構築した。 以上の検討を通して、溶融凝固過程におけるマクロレベル~ミクロレベルを連成させたマルチスケールな力学特性解析手法を構築することができたと考えている。一方で、マルツフェーズフィールド法による溶融凝固過程でのミクロ組織形成過程の数値シミュレーションモデルの構築に向けた検討を継続しており、最終年度においてはこれらが連成した統合シミュレー新モデルの構築とそれを活用した溶融凝固過程でのひずみ挙動解析を実現できることが大いに期待できる状況といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては概ね順調に進捗している。温度分布に着目した研究に関しては計画通りの成果が得られ、論文化を達成することができた。応用した研究も進めており、これについても成果がまとまり次第、論文発表等を進めていく予定である。ミクロ組織に着目した研究に関しては、当初計画していたマルチフェーズフィールド法だけでなく結晶塑性有限要素法によるアプローチも検討しており、ミクロ組織レベルでの応力・ひずみ場の評価が可能となりつつある。前者のマルチフェーズフィールド法によるアプローチがやや遅れているところもあると判断している。ただし、これに関しても2022年度に確実に進捗させるべく研究体制を再構築しており、最終年度で着実に進展させていけるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチフェーズフィールドシミュレーションの導入を完了しており、最終年度はこれを用いた検討を実施していくことを予定している。当初の予定通り、マクロレベルでのひずみ集中を正しく理解するモデル検討等による成果は順調に得られており、最終年度においてミクロ組織レベルでの検討を着実に推進していく予定としている。
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Causes of Carryover |
既存の計算機の保守に関する費用が追加して発生したこともあり、当該年度中の計算機の導入を見送った状況である。未使用額と翌年度分(最終年度)額との合算によりシミュレーション環境の強化、すなわち、計算機の追加購入や計算シミュレーションのライセンス増強などに活用して研究をより積極的に推進できる体制の構築に利用する予定としている。
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Research Products
(2 results)