2023 Fiscal Year Annual Research Report
Production of artificially segregation structure and property enhancement in beta titanium alloys
Project/Area Number |
20K05160
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
江村 聡 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主幹研究員 (00354184)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘテロ構造 / 重ね合わせ圧延 / 重ね合わせ圧縮 / 変形機構 / 第2相析出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はβ型チタン合金において、重ね合わせ圧延によって合金元素の不均一分布(偏析)によるヘテロ構造を人工的に創製し、強度-靭性バランス等の機械的性質の向上を図ることにある。特にMo量が極端に異なるTi-Mo2元系ヘテロ構造や拡散が早く偏析構造の付与が難しいAl添加合金のヘテロ構造を造り込み、変形機構の混在や第2相の析出状態を局所的に大きく変化させることを試みる。 本年度は以下のような成果が得られた。まず重ね合わせ圧縮(R. Ueji et al., Mater. Sci. Eng. A, 764 (2019), 138217)により作製したTi-10MoおよびTi-18Moの三層積層構造(Ti-10Moが外側(10-18-10材))およびTi-18Moが外側(18-10-18材))について溶体化処理後のβ単相材の引張特性を評価した。引張特性(強度、伸び)について、10-18-10材は単体のTi-10Moと、18-10-18材は単体のTi-18Moと同等の特性が得られ、特に10-18-10材では本来延性の低い18Moの部分でも大きな変形や破断後の延性的なディンプル破面が得られた。変形後の試料では組成の変化する部分で変形様式がマルテンサイト変態→双晶変形→すべり変形と変化する様子が観察された。さらに重ね合わせ圧延(シース管封入および熱間圧延)によって製造したTi-10MoおよびTi-18Moの積層構造材を作製し、引張特性を評価した結果、こちらも単体のTi-10Moと同等の引張特性が観察された。 研究期間全体を通じて、重ね合わせ圧縮、重ね合わせ圧延ともに組成や添加元素量が極端に異なるヘテロ構造の創製に適していること、ヘテロ構造の配置の違いによって引張特性が大きく変化すること、などが知見として得られた。
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