2021 Fiscal Year Research-status Report
ワイドバンドギャップ半導体結晶の加工導入欠陥構造・導入メカニズムの解明
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20K05176
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
石川 由加里 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (60416196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 義弘 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (70466291)
姚 永昭 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主任研究員 (80523935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GaN / 多光子励起顕微鏡 / STEM / TEM / インデンテーション / スクラッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
市販HVPE-GaN(0001)結晶に荷重を変えたビッカース圧痕を形成したモデル試料を多光子励起顕微鏡だけではなくCLとCMPを繰り返す方法で観察し、導入転位パタンの3次元サイズは面内広がり、侵入深さともにビッカース圧痕の対角長さ(d1)と比例関係にあることを示し、圧痕の対角長さから転位パタンの3次元サイズを推定する計算式を得た。 また、バーコビッチ圧子を用いた低荷重域でのインデンテーション実験を行い0.2-0.3uNでpop-in現象が生じることを確認した。得られた荷重は過去文献で得られたどのpop-in荷重より低かったにもかかわらず、本荷重よりも低荷重域で、塑性変形および転位の導入が起きていることが分かった。また、pop-inより低荷重領域で発生する転位は[0001]軸から傾いた貫通型であること、荷重の平方根に対する圧痕対角長さの比例性を持つ塑性変形が起きていることが分かった。一方、pop-in発生後には新たに、(0001)面内に伸びる転位が発生し、塑性変形は荷重の平方根に対する圧痕の深さの比例性を有する塑性変形が起きていることから、pop-inは面内方向への転位導入の閾値と判断した。本知見はpop-inで転位が初めて導入され、弾性変形から塑性変形へと変化するとした従来の解釈が成立しないことを示した新な知見である。 GaNウエハ加工工程で意図的にスクラッチを残した表面上にホモエピタキシャル成長を行い、エピ膜への転位の継承およびエピ膜表面への伸展が起きることを確認した。多光子励起顕微鏡で個別の転位線が判別できなくてもスクラッチ位置に暗線としてとらえられるものはスクラッチで導入された短い(浅い)転位を有していることがわかった。スクラッチから発生した転位は反応を繰り返し、a,c,a+cすべての形をとるためキラー欠陥を形成する可能性も高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究においては3年間で項目1~4を完了する計画となっている。 R3年度は、項目1においてrosette pattern内の転位が従来信じられてきた<11-20>{1-100}ではなく、<11-23>{1-100}であることが示唆されたのでR4年度はこれの解明に取り組む。項目2ではR2年度に完了済みである。項目3では転位パタンの3次元サイズ(各パタンの面内および深さ方向サイズ)と荷重(圧痕サイズ)の相関を明らかにし、ビッカース圧痕サイズから欠陥の広がりを推定する計算式を得たので目標を達成した。項目4では荷重と転位発生の相関をしらべpop-in前に[0001]から傾いた転位が発生していること、pop-in後に(0001)面内に伸展する転位が発生することを明らかにした。また、荷重と転位の伸展長さはパイエルスポテンシャルではなくエネルギーで決まることがわかってきた。計画を前倒して成果が上がってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は項目1では従来の解釈に疑念が生じたrosette pattern内の転位のバーガースベクトルの同定に取り組む。また、項目4では、転位長さと荷重相関の実験結果と計算の評価、in-situ測定における転位発生の観察に取り組む計画である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:コロナ禍の影響により導入を予定していた対物レンズの納期の目途がたたず購入が困難になった。 仕様計画:その場観察実験のためのGaNウエハ購入、裏面からの観察可能厚さにするための研磨加工、観察時のウエハ抑え用石英、観察結果を説明するための計算用のコンピュータおよび参考文献の購入、研究成果を対外発表するための英文校閲、およ投稿料等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)