2021 Fiscal Year Research-status Report
環境負荷軽減に寄与するプラスチック容器内で実現可能な超高速浸炭技術の確立
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20K05177
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平田 智丈 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (20359433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 拓人 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (20530041)
横山 雄二郎 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (30359418)
星野 英光 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 総括研究員 (60359396)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 浸炭 / レーザ / 鋼 / 熱処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
鋼の浸炭処理は、鋼製動力伝達部材等の表面硬化処理として不可欠な技術であるが、その処理過程で排出される多量の温室効果ガスが問題となっている。さらに、浸炭処理は多量のエネルギーと浸炭ガスを消費するため、これらを低減することも喫緊の課題である。本研究では、レーザを利用した独創的な「超高速浸炭技術」を提案し、さらにその実用化の可能性を検証することで、環境負荷軽減に大きく貢献できる制御性の高い浸炭技術を確立し、鋼の浸炭処理の新たな展開・波及を図る。 今年度は、レーザによる浸炭処理におけるガス濃度の影響を調査した。容器内に種々の圧力(濃度)までプロパンガスを封入し、レーザを容器外から照射し、その際のサンプルの昇温状態と浸炭状態を調査した。その結果、昇温過程や浸炭速度は容器内のガス濃度に依存することがわかり、ガス濃度により最高到達温度や昇温速度が異なり、さらにそれに起因して表面炭素濃度や浸炭深さも変化することがわかった。したがって、レーザによる浸炭処理において、容器内のガス濃度の制御は、浸炭処理の制御性を高める重要な因子の一つであることがわかった。 一方、初年度に、浸炭状態の再現性の欠如という問題が生じたため、その要因の調査も行った。容器内にガスを封入する過程において、前処理等のいくつかのパラメータを変化させ、それらの影響を調査したところ、容器内が減圧状態に至るまでの過程が、再現性に影響していることがわかった。そこで、その過程を見直し、統一したところ、再現性が著しく改善された。これにより、今後は精度よく浸炭状態を解析できるようになったので、次年度(最終年度)は、プロパンガス以外のガス種の影響等を調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
再現性改善に寄与するガス封入過程において、実験の安全面で確認すべき事項が発生した。そのため、当初の予定より、やや遅れることになったが、ガス使用時の安全面が担保できたので、次年度は問題なく進められる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の3つの項目を重点的に研究を進める。 1)ガス種の影響調査:浸炭速度は、使用するガスの種類によって変化することがある。これまでは、プロパンガスを使用して実験を進めてきたが、今後はメタンやアセチレンなど他の炭化水素系ガスにも注目し、レーザ照射による超高速浸炭に最適なガス種を調査する。 2)形状自由度の向上:本技術の汎用性向上を目的に、本技術を適用できる部材形状を調査する。浸炭は、板材よりもシャフトや歯車など、円柱状の部材に適用されることが多い。そこで、円柱状試験片を準備し、それを回転させながら浸炭処理を試み、本技術の形状自由度の向上を目指す。 3)浸炭状態の学術的な解析:ガス種、ガス濃度(圧力)、浸炭温度などのデータと処理材の炭素濃度分布との相関性を整理し、レーザによる浸炭処理を定量的に評価する。レーザによる加熱は、温度が一定に保たれることがないため、時間的な温度変化も考慮し、解析を試みる。
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Causes of Carryover |
初年度に引き続き、新型コロナウィルスの影響により、多くの学会がWeb開催に変更された。そのため、予定していた出張がなくなり、次年度使用額が生じた。しかしながら、最終年度は、学協会主催のイベントが現地で開催される見込みで、より積極的な成果発信に使用していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)