2022 Fiscal Year Annual Research Report
半導体シリコンの粒界性格を制御した結晶成長過程の直接観察
Project/Area Number |
20K05179
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 健作 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40634564)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 固液界面 / 双晶界面 / シリコン / デンドライト / ホウ酸塩結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、融液から多結晶材料が凝固する際に形成される結晶粒界の形成機構を系統的に理解することを目的とした。太陽電池材料などに使用される多結晶シリコン基板内に存在する多数の結晶粒界が、融液から結晶へと凝固する際に偶発的に形成される。この結晶粒界の形成機構を理解することは材料設計や製造プロセスの改善につながる重要な課題である。シリコンの他にもホウ酸塩結晶や共晶組織における粒界形成にも着目して研究を進めた。 本研究では、新たなアプローチを用い、意図した方位関係の結晶粒界を再現して観察する方法に取り組んだ。産業スケールの多結晶シリコンインゴットは数百キログラム程度と大きく、その中には様々な方位関係の結晶粒界が形成されている。しかし、実験室スケールの結晶成長炉では、インゴットは小さく、視野も狭いため効率よく観察することは難しい。そこで意図した結晶粒界を効率よく観察するために、種結晶の導入や温度場制御手法の改良を行った。 具体的には、「①その場観察装置の改造」として、“C”字型のヒーターを用いて固液界面形状を操作した成長過程の観察ができるようになった。「②シリコンの非平行双晶界面によるデンドライト成長」では、これまでは平行な双晶界面によるデンドライト成長は知られていたが非平行な双晶界面でもデンドライト成長することを発見した。「③シリコンの固液界面近傍の温度場観察」として、2波長温度計を用いて結晶成長中の融液の温度場をその場観察した。また「④ホウ酸塩結晶の周期双晶の微細化」と「⑤Fe-Si系共晶組織の形成過程のその場観察」にも取り組んだ。
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