2021 Fiscal Year Research-status Report
表面微細クレバス構造上の特異拡張濡れによるReactive wettingの解明
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20K05182
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中本 将嗣 大阪大学, 低温センター, 助教 (80467539)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 濡れ / 速度 / 浸透 / 溶解 / 化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが見出したレーザ照射で形成される金属の表面微細構造上の特異拡張濡れを利用し、溶解・化合物形成を伴う反応濡れ(reactive wetting)を定量的に評価する新手法の構築、メカニズムの解明を目指した。昨年度考案したレーザで直線経路に形成させた表面微細構造上の特異拡張濡れ挙動を上部から直接観察、濡れの速度を測定する手法を温度ごとに測定できるようにした。具体的には、基板上に液滴試料を滴下可能な滴下システムを構築し、任意の温度での濡れ速度の測定を実現した。 液体金属Sn, In, Pb, BiのCu基板上での直線経路に形成させた表面微細構造上の特異拡張濡れの速度を同一で測定し、測定後の試料の観察を実施した。同一温度においてSnの濡れが最も速く、Inが少し遅く、Pb, BiはSn, Inと比較して桁が変わるほど遅くなった。この傾向は昨年度静置型の実験での傾向と一致し、Cuと化合物を形成するSn, Inで濡れ速度が大きくなる傾向を再現した。 一般的な毛細管の速度式に基づき解析した結果、上記速度の違いは一般的な速度式では表すことができず、新たな速度式の導出が必要であることが分かった。 以上により、本研究では任意の温度で特異拡張濡れの速度を測定する手法を構築するとともに、濡れ速度を大きくする要因として化合物形成が大きく関与することを示唆する結果を得た。加えて、本研究での濡れ速度を記述する新たな速度式の導出が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)昨年度考案したレーザで直線経路に形成させた表面微細構造上の特異拡張濡れ挙動を上部から直接観察、濡れの速度を測定する手法を任意の温度で実施できるように改良し、濡れ速度の測定を実現するとともに、(2)同一温度での液体金属Sn, In, Pb, BiのCu基板上での直線経路に形成させた表面微細構造上の特異拡張濡れの速度を測定し、濡れ速度の違いを定量的に示し、化合物形成を伴う反応濡れにおいて濡れ速度が大きくなる可能性を示唆する結果を得ている。加えて、(3)本研究での濡れ速度は一般的な毛細管の速度式では表現が困難で、同濡れ速度を表す新たな速度式の導出が必要であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに温度を変化させて濡れ速度の測定を行うとともに、測定後の断面観察の結果から、溶解・化合物形成を伴う反応濡れの速度への温度の影響を明らかにする。加えて、毛細管現象の速度式に基づく表面微細構造上の特異拡張濡れに対する速度式を新たに導出するとともに、熱力学量に基づく比較を試みる。
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