2022 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム合金で観察された新奇な電磁分離現象の発現条件とその理解
Project/Area Number |
20K05184
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 洋介 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40316807)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電磁分離 / アルミニウム合金 / 初晶 / 偏析 / スズ合金 / 対流 / 直接観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
過共晶組成を有するAl-Fe合金およびAl-Si合金において,凝固開始前に直流電流および磁場を同時印加すると,それぞれ一定の条件下で初晶が試料表層に偏析する現象を発見した。当該現象は,既存の電磁分離理論からは予想できず,一部のアルミニウム合金でのみ発現する新規な物理現象と考えられる。最終年度はこの点に着目し,令和3年度に導入した電磁分離溶解装置を用い,Sn-75Bi合金およびSn-15Sbを用いて,同様の実験を試みた。そして透明石英管を容器に用い,各スズ合金の冷却・凝固過程における溶湯の動きを直接観察した。 溶融Sn-75Bi合金に電磁場を印加した際,電極付近において顕著な湯の乱れが観察された。また凝固組織中の初晶Biの分布に電磁力の影響は認められなかった。溶融Sn-15Sbに電磁場を印加した際も同様,湯の動きが観察された。しかしこの場合は初晶Sn3Sb2が試料表層に偏析した。詳細の解明には至らなかったが,初晶の分布は,電磁力を印加するタイミングのみならず,初晶の電気的・磁気的性質等にも依存すると考えられる。初晶Al13Fe4および初晶Siの偏析は,それらが試料表面から遊離することなく狭範囲かつ緻密に成長した結果であり,ピンチ効果により溶湯対流が抑制された結果と推測した。しかし以上に述べたとおり,実験結果は必ずしもそれを支持するものではなかった。 新しい発見として,Al-Si合金においては,磁場を印加することなく溶湯に直流電流を通じるだけで電磁場を印加したときと同様な初晶分離効果が発現することを見出した。当該効果は装置として磁場を印加するための機構が不要であり技術的にはより興味深いと言える。
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Research Products
(1 results)