2020 Fiscal Year Research-status Report
電磁振動プロセスを用いた均一孤立微細分散相を有する不混和性アルミニウム合金の創製
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20K05186
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
李 明軍 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50392808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 卓也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究チーム長 (30446588)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不混和性合金 / 電磁振動 / アルミニウム合金 / 均一分散 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、注目されているのが偏晶型合金等の不混和性合金である。これらの合金は構成する金属間の密度差が大きく、鋳造時において軽元素は上に浮き、重元素は下に沈むため偏析しやすく、特に偏晶型合金においては二相は分離したままとなり、従来の鋳造技術では作製が困難である。これらの不混和性合金を構成する金属は各種特性が大きく異なる事が多く、第二相を母相中に均一に孤立微細分散させることができれば、単一組成材では得がたい優れた特性を有する金属材料の創製が期待される。そこで、本研究では、Al-(Bi, Sn)不混和性合金を対象として、アルミニウム母相中における第二相の分散状態と電磁振動条件の関係を把握することで、第二相がアルミニウム母相中に均一孤立分散するメカニズムを明らかにすることを目的としている。 本年度は、Al-20wt%Sn合金を用いて磁場強度を10Tに固定して、電磁振動条件である振動周波数(100~4000Hz)、電磁振動用電流(10~90A)の2条件の影響を詳しく調査した。また、印加時間・タイミングに関しては、これまでの経験から完全液相から約95%が固相になる温度まで電磁振動を印加した。固相量は、ThermoCalcのScheilモデルを用いて算出を行った。その結果、Snがアルミマトリックス中に均一分散できる印加条件を見出す事が出来た。振動周波数に関しては低周波の方がより効果的であり、加振力に比例する電磁振動電流に関しては大電流、すなわち大きな加振力の方が効果的であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、電磁振動プロセスにおける電磁振動電流・振動周波数がSn相の均一分散化に及ぼす影響を大きな観点から調査したことにより、この研究において重要な傾向を見出すことが出来た。以上の結果より、本年度の研究目標はおおむね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に得られた実験結果よりSn相の均一分散化のメカニズムを構築していくのと同時に、機械特性評価用に大型試料の作製を行い、機械特性を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
主な次年度使用額が生じた理由としては、実験補助員の確保が上半期出来なかったことにより、物品費の支出が少なくなったためである。この使用計画としては、実験補助員の確保が出来たことから、次年度使用額に関しては物品費として実験を加速させ、論文投稿等を行う予定である。
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