2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of ion accumulation on particle surface by zeta potential measurement with controlling applied electric field
Project/Area Number |
20K05194
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深澤 智典 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (00589187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゼータ電位 / 電気泳動 / イオン集積 / イオン水和 / 親疎水性 / 降伏応力 / 凝集速度 / ソフト界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、印加電場の低下にともなうゼータ電位の減少に着目し、モデル粒子を用いた印加電場を操作したゼータ電位測定、粒子プローブ原子間力顕微鏡法を用いた相互作用力測定、粒子の分散安定性や懸濁液のレオロジー特性の評価を行い、印加電場を操作した精密ゼータ電位測定による粒子界面におけるイオン集積 状態を評価する簡便な手法の確立を目指す。令和3年度の研究実績は以下の通りである。 令和2年度に引き続き、モデル粒子としてポリスチレンラテックス粒子およびシリカ粒子(直径数 μm, 負帯電)を用い、光学顕微鏡法により単一粒子毎に電気泳動度(ゼータ電位)を測定した。印加電場の低下にともなうゼータ電位の減少に着目し、粒子周囲のイオン集積状態の評価を試みた。特に、溶存イオン種(水和イオンエンタルピー)、粒子の親・疎水性、さらには分散媒pHがイオン集積状態に及ぼす影響について重点的に調査した。水和イオンエンタルピーの大きいイオン(より水 和し易い)を含む溶液中では親水性粒子はより多くのイオンが粒子近傍に集積するため、印加電場の増大による集積層厚みの変化が顕著となった。一方、水和イオンエンタルピーの小さなイオンでは疎水性粒子の方が比較的多くのイオン集積量を有し、印加電場の増大による集積層厚みの変化が大きくなった。すなわち、イオン集積量の多い粒子表面ではイオン集積層厚み変化が大きかった。 加えて、粒子懸濁液の凝集速度(分散安定性)およびレオロジー特性(降伏応力,せん断粘度)の評価を進めた。なお、粒子懸濁液のレオロジー特性の評価は、本助成金にて購入したデジタル粘度計(ブルックフィールド)により行った。 さらに、ポリスチレンラテックス粒子表面に高分子鎖の生えたソフト界面(高分子層)を有するモデル粒子を作製し、印加電場を操作した精密ゼータ電位測定に基づく高分子層の界面特性の立体的(精密)な評価を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル粒子としてポリスチレンラテックス粒子およびシリカ粒子(直径数 μm, 負帯電)を用いた種々の印加電圧条件における電気泳動速度の粒子径依存性の評価・解析についてはおおむね終了している。一方で、粒子プローブ原子間力顕微鏡法を用いた相互作用力(静電斥力)測定については実験系の構築に少し時間を要しており、その代替として粒子懸濁液の電位差滴定により粒子表面電荷密度の測定による相互作用力の評価を実施している。また、粒子懸濁液の凝集速度(分散安定性)およびレオロジー特性(降伏応力,せん断粘度)の評価を進めている。なお、粒子懸濁液のレオロジー特性の評価は、本助成金にて購入したデジタル粘度計(ブルックフィールド)により行っている。さらに、ポリスチレンラテックス粒子表面に感温性の高分子鎖の生えたソフト界面(高分子層)を有するモデル粒子を作製し、印加電場を操作した精密ゼータ電位測定に基づく高分子層の界面特性の立体的(精密)な評価を検討している。 研究全体としては、計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、粒子懸濁液の凝集速度(分散安定性)およびレオロジー特性(降伏応力,せん断粘度)の評価を進めていく。既に取得済の各種条件下におけるゼータ電位や溶存イオンの集積状態に関する知見に基づき、粒子懸濁液の凝集速度(分散安定性)およびレオロジー特性(降伏応力,せん断粘度)についてそれぞれの既往理論を用い予測する。同時に、モデル粒子・粉体を用いて懸濁液の凝集速度およびレオロジー特性を実験により評価する。これら理論予測と実験結果の比較から、粒子界面の溶存イオンの集積状態が凝集速度やレオロジー特性と行ったマクロな現象に及ぼす影響について評価する。 同様に、粒子表面に高分子鎖の生えたソフト界面(高分子層)を有するモデル粒子を様々に作製し、印加電場を操作した精密ゼータ電位測定に基づく高分子層の界面特性の立体的(精密)な評価法を検討する。合わせて、モデル粒子として赤血球(ウサギ)も対象とする。 最後に、得られた詳細な実験・解析データを総括し、印加電場を操作した精密ゼータ電位測定による粒子界面におけるイオン集積状態の評価法を提案する。
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Causes of Carryover |
(理由)参加を予定していた学会がオンライン開催となり、予算計上していた旅費について本年度中に執行できなかった。 (使用計画)現時点でオンサイト開催が予定されている学会に参加予定であり、執行を計画している。
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Research Products
(6 results)