2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of new activity coefficient equation for correlation to estimation equation for multi-component systems
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20K05195
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩井 芳夫 九州大学, 工学研究院, 准教授 (80176528)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 活量係数式 / 気液平衡 / 液々平衡 / グループ寄与法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が提案した新しい活量係数式を用いて、2成分系の活量係数の実験値から2成分系のパラメータを求め、それを用いて多成分系(3成分系および4成分系)の活量係数を推算することを試みた。新しい活量係数式に含まれるパラメータとして、qi0は純成分iの分子あたりの分子間相互作用対数、qji∞は成分iが成分j中で無限希釈状態にあるときの分子あたりの分子間相互作用対数、ΔEijは交換エネルギーである。成分(1)+成分(2)の2成分系におけるパラメータはΔE12、q10、q20、q21∞、q12∞である。これらのパラメータを決める際、2成分系の気液平衡の活量係数の実験値に合うように自由にパラメータを決めると、多成分系の推算精度が悪くなる。そのため、2成分系のパラメータを求める際、次の制限条件を付けた。 (1)成分iの分子あたりの分子間相互作用対数は純成分でも無限希釈状態でも多い分子は多く、少ない分子は少ないと考えられるので、q10/ q21∞= q20/ q12∞の制限条件を付けた。(2)成分同士の相互作用の大きさの差異が大きくなるほど無限希釈の活量係数の値は大きくなり、ΔE12も大きくなるので、ΔE12は両成分の無限希釈活量係数の対数値の和の半分とした。その結果、qの値の平均値は約1となった。(3)多成分系のギブスの自由エネルギーの過剰量を求める際、(i+j)系から得ることができないqk0 (k≠i, j)の値にはqの平均値の1.0を使用することにした。 これらの条件を用いて、2成分系の活量係数の実験値から2成分系のパラメータを求め、多成分系の活量係数を推算したところ、既存の活量係数式であるNRTL式やUNIQUAC式と比較して同等またやや良い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が提案した新しい活量係数式はパラメータ値の選択の自由度が高く、相関式として用いるときは相関精度が良い。しかし、推算式として用いる際はパラメータ値の選択の自由度が高いことが逆にあだとなり、精度が落ちる場合が多かった。そこで、2成分系の活量係数の実験値から2成分系のパラメータを求める際に適切な制限条件を付けた。この制限条件を付けても2成分系の相関精度はあまり悪くならず、多成分系の推算精度は向上することが明らかになった。本研究により、2成分系のパラメータを求める際の適切な制限条件が明らかになったことにより、有用な知見が得られたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が提案した新しい活量係数式は準化学平衡の式をΔEij=0の周りでテーラー展開し、第二項までで近似した式である。そのため、ΔEijが小さい系ではその近似は妥当であるが、ΔEijが大きい系では近似が荒すぎ、そのしわ寄せはパラメータqに反映されると考えられる。種々の値のΔEijを持つ構成2成分系から多成分系の活量係数を推算する場合、系によってはΔEijが小さくqの値が妥当だったり、ΔEijが大きくqの値が不適当な値だったりすると考えられ、それが多成分系の活量係数の推算誤差を大きくする原因と考えられる。そこで、準化学平衡の式に立ち返り、その式を基にして多成分系の活量係数を推算することを試みる。 さらに、得られた活量係数式を状態方程式に組み込み、幅広い温度・圧力の条件で相平衡を計算できるようにする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延のため、参加を予定していた学会がオンライン開催となり、旅費が不要となったために次年度使用額が生じた。 昨年度と一昨年度は出張を全く行わず、旅費を使わなかったので、今年度は積極的に学会等に対面出席し、旅費を使う計画である。
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Research Products
(4 results)