2021 Fiscal Year Research-status Report
炭化ケイ素系ガス分離膜の細孔径チューニング技術開発と評価
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20K05205
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
永野 孝幸 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主任研究員 (70450848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 功二 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 技師 (20552590)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炭化ケイ素 / アルミナ / シラシクロブタン / アルゴン / 水素 / 圧力 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧力精密制御型対向拡散CVD装置にて、有機金属原料としてシラシクロブタンを用い、Ni添加γ-アルミナ中間層をコートしたα-アルミナ多孔質基材上に炭化ケイ素膜を合成した。通常の成膜条件では分子径0.289nmの水素と分子径0.33nmの二酸化炭素の間の細孔径がシャープに形成されるが、原料の供給量をコントロールし、成膜パターンを変更することにより、細孔径を拡大し、且つ50℃での水素透過率を400℃における水素透過率と同等に増加させることに成功した。50℃における水素透過率は1.0X10-7 mol/m2・s・Pa、水素/窒素透過率比は111であった。一方、400℃における水素透過率は1.1X10-7 mol/m2・s・Pa、水素/窒素透過率比は155であった。成膜プロセスの進行状態を把握するため、反応ガスである水素をインターバル供給することで、水素ガス停止時の基材内部の圧力変化をモニタリングした。中間層の封孔が不十分な場合はキャリアガスであるアルゴンが水素ガス停止時に侵入する。一方、中間層の封孔が進行すると分子径の大きなアルゴンは透過しにくくなり、チューブ内に残存した水素が膜を透過して、基材の外側に出ていくので、基材内部の圧力は時間とともに減少する。この圧力変化をモニタリングしながら、成膜時間を最適化することで細孔径分布制御が可能となった。また、50℃から400℃へ透過温度が増加すると二酸化炭素の透過率が大きく減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭化ケイ素の原料を変更することなく、細孔径分布を制御できた。低温での水素透過率を増加させると水素/窒素選択透過率比が減少し、分離膜としてのパフォーマンスが失われるケースが多いが、本研究では水素/窒素透過率比>100を実現している。
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Strategy for Future Research Activity |
炭化ケイ素とアルミナは熱膨張係数差が大きいため、膜のスケールアップを行うと膜に亀裂が生成することが予想されたが、本成膜法では無機膜として一般的なφ12mm基材でも問題はなかった。炭化ケイ素基材はアルミナ基材と比較して、単価が高く、供給も限られているのでい、引き続き、アルミナ基材での膜開発を行っていく。
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Causes of Carryover |
メーカーにおけるアルミナ多孔質基材の製造プロセスに問題があり、納期が延期されたため。
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