2020 Fiscal Year Research-status Report
固体触媒上に複数ある活性点の機能発現を制御する、マイクロ流動反応プロセスの構築
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20K05208
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷屋 啓太 神戸大学, 工学研究科, 助教 (30632822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 覚 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00156126)
市橋 祐一 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20362759)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロ流動層 / 固体触媒 / Baeyer-Villiger酸化 / 不均一触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体触媒は反応原料や溶媒などから容易に分離・回収できるため工業的に広く用いられている。一方で、同一触媒上に複数の活性点が形成されることが避けられず、目的反応だけでなく副反応も同時に進行する事が多い。本研究では、ベータゼオライト(HBEA)触媒上でのH2O2によるシクロヘキサノンのBaeyer-Villiger(BV)酸化をモデル反応とし、マイクロ流動層型反応器を用いて触媒、酸化剤、原料の共存時間を能動的に操作し、目的反応の活性点性能の維持と副反応の抑制を同時に達成する反応場を構築する。本年度の研究では、触媒のHBEAを粒子、溶媒のアセトニトリルを流体として、定常流れにおける流動化条件について検討を行った。 1. 平均粒径60、83、95、103、128および200 umに整えたHBEAを、内径3-8 mmのガラスカラムに充填し、流体の供給速度を変えることで流動化条件を評価した。平均粒径が60-95 umでは流動化しなかった。平均粒径103-200 umでは流動化し、平均粒径が大きくなるほど、また、カラムの内径が小さくなるほど、最小流動化速度は増加した。これらの値は、提案されている流動化開始速度の推算式から得られる値より大きかった。ミリリアクターでは、触媒体積と管内壁の接触面積の比率が大きくなり、粒子が管内壁から受ける摩擦力の影響が強くなることに由来すると考えられる。 2. 得られた流動化開始速度を用いて、この流動層がBV酸化に適用可能か評価した。これまで行ってきた回分操作での反応結果を基に、触媒上での反応速度が流動層でも変わらないと仮定し、各条件での推定転化率を算出した。カラム内径8 mmの反応器を用いることで、推定転化率が10 %になることが明らかとなった。以上より、定常状態でのBV酸化条件における固-液流動層の流動化条件を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は流動層反応器の構築およびBV酸化反応における触媒と溶媒を用いた流動化条件の評価を行った。ミリリアクターを用いたマイクロ流動層における流動化条件について評価を行い、触媒流動化領域を明らかにするとともに、流動化に特に影響する因子を明らかにし、当初の予定通り研究を進行できた。また、得られた結果からH2O2を用いたシクロヘキサノンのBV酸化反応への適用可能性を見出すことができた。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度構築したマイクロ流動層反応器を用いて、流動化領域での連続流通反応下でH2O2によるシクロヘキサノンのBV酸化反応を行い、反応における転化率や選択率への影響を評価する。また、周期変動操作を導入したマイクロ流動層反応器を設計するために、シクロヘキサノンまたはH2O2を含むアセトニトリル溶液の供給間隔や供給速度が流動化領域に及ぼす影響について評価する。
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Research Products
(1 results)