2020 Fiscal Year Research-status Report
多相系プロセスにおける超音波による分散相動的挙動の解析
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20K05212
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小林 大祐 東京電機大学, 工学部, 准教授 (30453541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超音波 / 乳化 / ポリスチレン微粒子 / 液滴径 / 粒子径 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波を用いたプロセスの現象解析は個々に行われているが、相反する現象を取り上げて比較する研究は行われていないため、プロセス設計が難しく、化学工業での実用化に至る例がない。本研究では、相反する現象のモデルとして液液系での乳化現象を対象とし、微小な分散相が超音波場で凝集・合一挙動、あるいは分散・微細化挙動のどちらが有利に進行するか、操作条件を変更して現象解析を行い、各々のプロセスで支配的になる因子を抽出し、対象系で目的を達成するための操作条件のマッピングを目指す。 これまでに、O/Wエマルション調製のモデルケースとして、油相にスチレンモノマー、水相にイオン交換水を用いて、攪拌機、ホモジナイザーなどの機械的乳化法を用いて液滴径がサブミクロンから数マイクロメートルの粗エマルションを調製した。調製した粗エマルションに490 kHz、および1.0 MHzの超音波を照射し液滴径の変化を観察した。さらにスチレンモノマーに重合開始剤である過酸化ベンゾイルを添加してエマルション調製を行ない、加熱・重合反応を進行させ、生成したポリスチレンの粒子径、重合率の測定を行った。 当初は、サブミクロンオーダーの粗エマルションに超音波を照射すると高周波数超音波ではさらに微細化され、数十マイクロメートルオーダーの粗エマルションでは高周波数超音波では微細化が促進されず、低周波数超音波が微細化に有効だと考えていたが、粗エマルション調製時の液滴径について安定性や評価方法の課題のため当初予定よりも狭い領域での調製となっており、超音波周波数の微細化への影響に大きな違いは得られていないが、重合反応の結果、数マイクロメートルのポリスチレン微粒子を高収率で得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
液滴径の大きな粗エマルションを調製した際に、エマルションの安定性が低く、超音波照射を行う前に均一相が崩れてしまい、機械的乳化により調製した粗エマルションの液滴径と、二段階目での乳化で照射する超音波周波数の関係を、当初の予定よりも幅広い液滴径で検討することが出来なかった。こちらについては、現在、界面活性剤の添加量の変更などで再検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
粗エマルション調製時の液滴径について安定性や評価方法の課題のため当初予定よりも狭い領域での調製となっており、超音波周波数の微細化への影響に大きな違いは得られていないが、界面活性剤の添加量の変更などで再検討を行う。 また、100 nm~50 μmと幅広い粒子径の酸化チタン粒子を用いて、固体粒子存在下での超音波による分解反応を周波数を変更して行ない、反応場活性化に添加粒子の粒子径と超音波周波数の関係がおよぼす影響を調べることで、超音波の共振径と分散相の大きさが超音波反応場におよぼす影響を検討する。
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Research Products
(1 results)