2022 Fiscal Year Research-status Report
プラント事故防止のためのプラント運転データからの有害アラーム抽出技術の開発
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20K05213
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
野田 賢 福岡大学, 工学部, 教授 (60293891)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラントアラームシステム / 有害アラーム / ドットマトリックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プラント運転データからの有害アラーム抽出法の開発を研究目的とする。当該年度は、前年度までに開発したドットマトリックス解析よりも高速に有害アラームを抽出することができる新しい有害アラーム抽出法の開発に取り組んだ。この方法では、有害アラームの抽出問題を数理計画問題として定式化し、スミス・ウォーターマンアルゴリズムにより有害アラームを抽出する。開発手法を、複数のマルファンクションを人為的に発生させた共沸蒸留プラントのシミュレーションデータに適用し有害アラームを抽出した。抽出した有害アラーム情報に基づきファーストアラーム以外のアラームの設定を削除し管理範囲を変更しプラントアラームシステムの適正化を試みた。適正化後のプラント運転データを再度分析した結果、有害アラームが削減できていることが確認できた。本研究が提案する手法は、有害アラームをプラント運転データからピンポイントで抽出できるため、直ちに有害アラームの削除やアラーム管理範囲の変更などの具体的な対策を検討することができる。このようにプラントアラームシステムの評価を、従来の量的評価から質的評価へ転換することが本研究の特徴である。当該年度に得られた成果を、プロセスシステム工学分野の重要な国際会議の一つである第14回プロセスシステム工学に関する国際シンポジウム(於京都大学)において口頭発表し、国内外の企業参加者から高い関心を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症により長期間実プラントへの入場が制限されたため、研究協力者が所属する化学企業の実プラントの運転データへの開発した手法の適用が遅れた。今年度は、制限が緩和される見通しであるため、実プラントの運転データからの有害アラームの抽出を試みる。得られた結果が妥当なものであるか、化学企業の現役オペレータに評価を依頼する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者が所属する化学企業の実プラントの運転データに開発した手法を適用し、有害アラームの抽出を試みる。得られた結果が妥当なものであるか、化学企業の現役オペレータに評価を依頼する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスのために、海外の国際会議への参加ができなかった。また、企業のプラントへの入場が制限されたため、予定していた実プラントデータの収集ができなかった。以上の理由により次年度使用額が生じた。今年度は、海外で開催される国際会議への出張を予定しており、それらの旅費として使用する計画である。
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