2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of innovative metal nanocluster using porous coordination polymer as reaction field and supercritical fluid activation
Project/Area Number |
20K05214
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 清 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (40299540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20293756)
入江 圭一 福岡大学, 薬学部, 助教 (50509669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 多孔性金属錯体 / ナノクラスター / 触媒反応 / 多孔性配位高分子 / 金属有機構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超臨界活性化技術を用いて細孔構造が制御された多孔性配位高分子(PCP)や金属有機構造体(MOF)等の多孔性金属錯体(PCP/MOF)のマイクロ孔(2nm以下の細孔)を反応場とすることで、2nm以下の微細構造が制御された触媒活性や蛍光特性を有する金属ナノクラスターの創生法について検討した。1nm前後の金属ナノクラスターをPCP/MOFの細孔中に固定化することができれば、金属ナノクラスターのサイズ効果とPCP/MOFとの協奏的相互作用により、金属ナノクラスター粒子の触媒活性や蛍光特性の劇的な向上が期待できる。しかし、金属イオンおよび有機配位子から構成される細孔径2nm以下のPCP/MOFの細孔構造や疎水/親水性は極めて複雑であり、単純な含浸法による細孔中へのクラスターサイズの粒子の分散・固定化は極めて困難である。 本課題の初年度においては、平均細孔径2nm以下の多孔性配位高分子PCP/MOFに対して超臨界乾燥処理および超臨界CO2ハイブリッド溶媒を用いた含浸法を試みることで、2nm以下のクラスターサイズの金属粒子の固定化に成功した。PCP/MOF細孔へのクラスターの固定化には、超臨界乾燥法(活性化)によるPCP/MOFの高比表面積化、超臨界含浸処理における比較的分子サイズの小さな前駆体の利用が有効であることが分かった。TEMおよびEMPAによる評価により、PCP/MOF細孔内に均一に分散した状態で金属クラスター粒子が固定化されていることが分かった。また、複数のクラスター前駆体を用いることでPCP/MOF内でのバイメタルクラスターの合成が可能であり、CO酸化反応、クロスカップリング反応、水素還元反応において、極めて高い触媒活性を有することがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
超臨界活性化法により比表面積が向上した多孔性配位高分子(PCP/MOF)であるCu3(BTC)2に対して、超臨界CO2ハイブリッド溶媒を用いた含浸法を試み、2nm以下の粒子径を有するRuナノクラスターの固定化に成功した。また、スパッタ法により調製した1nm以下のAuクラスター粒子の固定化に成功した。とくに含浸処理前の超臨界CO2乾燥処理(活性化)により、Cu3(BTC)2の比表面積が280m2/gから1260m2/gに劇的に向上することで、Ru前駆体のCu3(BTC)2への吸着性能が大きく向上した。また、Cu3(BTC)2へのRuの吸着特性に及ぼすRu前駆体の構造について検討したところ、Ruthenium(III) acetylacetonateを用いた場合、前駆体の配位子に起因する嵩高さの影響により、Ruを比較的高濃度でCu3(BTC)2へ吸着することは困難でった。一方、前駆体にRuCl3を用いた場合、Cu3(BTC)2へのRuの吸着量が大きく向上した。また、EPMAによりCu3(BTC)2-Ru複合体の元素分析マッピングを試みたところ、Cu3(BTC)2にRuが均一に固定化されていることがわかった。CO酸化反応により、触媒活性を試みたところ、サイズ効果によりその触媒活性が大きく向上することがわかった。以上の結果により、本研究は当初の計画以上に進展している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
超臨界流体含浸法を用いて調製して調製した金属クラスター粒子は、多孔性配位高分子PCP/MOF中に均一に固定化されていることがわかった。このとき、多孔性配位高分子PCP/MOF中に固定化された金属クラスターは、PCP/MOFを構成する金属錯体と協奏的な相互作用を起こすことで、その触媒活性が劇的に向上することがわかってきた。今後は、ナノクラスターを固定化したPCP/MOFを還元雰囲気下で処理することで細孔構造を維持したまま、ナノクラスターとの複合化を試み、さらなる触媒活性の向上を目指す。
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Causes of Carryover |
超臨界含浸法を用いて調製したPCP/MOF-ナノクラスター複合体は、そのサイズ効果により高い触媒活性を有することがわかった。このときの前駆体の選定や含浸法の最適化が想定よりも順調に進んだため、次年度使用額が生じた。これらについては、触媒活性評価のための試薬等の購入に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)