2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of innovative metal nanocluster using porous coordination polymer as reaction field and supercritical fluid activation
Project/Area Number |
20K05214
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 清 福岡工業大学, 工学部, 教授 (40299540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20293756)
入江 圭一 福岡大学, 薬学部, 助教 (50509669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 多孔性金属錯体 / ナノクラスター / 触媒反応 / 多孔性配位高分子 / 金属有機構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超臨界流体の乾燥および含浸法を基盤とした超臨界活性化技術を用いて細孔構造が制御された多孔性配位高分子(PCP)や金属-有機骨格体(MOF)等の多孔性金属錯体(PCP/MOF)のマイクロ孔(2nm以下の細孔)を反応場とし、2nm以下の微細構造が制御された触媒活性を有する金属ナノクラスターの創生法について検討してきた。それらの触媒活性をCO酸化反応、クロスカップリング反応、水素還元反応などにおいて評価し、極めて高い触媒活性を有することがわかってきた。しかしながら、PCP/MOFの特性から酸性およびアルカリ水溶液中での安定性、比較的温度の高い気相系の反応における耐熱性が問題となっていた。そこで本研究では、超臨界含浸法によりPCP/MOF細孔中にナノクラスター粒子を固定化した後、水素ガス雰囲気下で還元および炭化反応を進行させることで、ミクロンオーダーの多孔質炭素粒子中に複数の金属ナノ粒子が複合化および固定化することが可能であることを見出した。PCP/MOFの多孔質形状を維持したまま炭化処理を施すことで、超臨界含浸法によりPCP/MOF細孔中に固定化された金属前駆体と、PCP/MOF由来の金属イオンが複合化されたバイメタルナノクラスター粒子を合成可能である。 これらの方法で調製したバイメタルナノクラスター粒子は、既存の方法で調製したバイメタルナノ粒子に比べ、PCP/MOF由来の炭素粒子内で高い分散性を有したまま固定化され、CO酸化反応、クロスカップリング反応、水素還元反応などに対して、高い反応性を示すことがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界活性化法により比表面積が向上した多孔性配位高分子(PCP/MOF)であるCu3(BTC)2およびNi-MOF-74に、それぞれRu(III) acetylacetonateおよびPd(Ⅱ) acetateを超臨界含浸し、He/H2ガス流通下で還元処理を実施することで、Cu-RuやPd-Niバイメタルナノクラスター粒子が固定化された多孔質炭素粒子を得ることができた。加熱温度を最適化することで、MOF/PCP由来の多孔質構造を維持した多孔質炭素にCu-RuやPd-Niバイメタル粒子を固定化することができたものの、加熱温度により炭素の多孔質構造の崩壊やバイメタル粒子の粒子成長が顕著となり、さらなる加熱条件の最適化が必要である。EPMAによりCu3(BTC)2-RuおよびNi-MOF-74-Pdの複合体の元素分析マッピングを試みたところ、これらの複合体中でのそれぞれの金属元素が均一に複合化されていることがわかった。また、前駆体の構造により、前駆体のPCP/MOFへの吸着量が大きく異なるため、前駆体の最適化、前駆体の添加量の制御が必要であり、さらなるバイメタルナノ粒子の合成条件の最適化が必要である。しかしながら、これらの方法で調製したバイメタルナノクラスター粒子は、既存の方法で調製したバイメタルナノ粒子に比べ、CO酸化反応、クロスカップリング反応、水素還元反応などに対して、高い反応性を示すことがわかってきた。以上の結果により、本研究は当初の計画以上に進展している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
超臨界流体含浸法を用いて調製したバイメタルナノ粒子クラスターは、多孔性配位高分子PCP/MOF中に均一に固定化されていることがわかった。比較的高温のHe/H2ガス流通下で還元処理を実施することで、PCP/MOF由来の多孔質炭素粒子中にバイメタルナノクラスターが固定化できることがわかってきた。PCP/MOFを構成する金属錯体と協奏的な相互作用を起こすことで、その触媒活性が劇的に向上することがわかってきたが、還元温度などの処理条件によりナノクラスター粒子の結晶成長が発生し、触媒活性の低下を引き起こしている。今後は、最適な還元条件などの探索を行い、さらなる触媒活性の向上を目指す。
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Causes of Carryover |
超臨界含浸法を用いて調製したPCP/MOF-ナノクラスター複合体は、そのサイズ効果により高い触媒活性を有することがわかった。このときの前駆体の選定や含浸法の最適化が想定よりも順調に進んだため、次年度使用額が生じた。これらについては、触媒活性評価のための試薬等の購入に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)