2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロバブル誘起超音波キャビテーションによる極微小領域ラジカルプロセッシング
Project/Area Number |
20K05215
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
村上 能規 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70293256)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超音波 / 微細気泡 / ラジカル / 流通系 / 局所反応場 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶液に照射した超音波は,圧力の変動を伝播させながら伝わる.それによって生じた局所的な圧力低下によって,キャビテーションが起こり,微小気泡を生成する.その気泡が崩壊する際に,水の熱分解が起こり,ヒドロキシルラジカル(・OH)が生成される.我々はこれまでに,マイクロバブルとよばれる直径約1μmの気泡を予め発生させた溶液に28 kHz,45 kHz,100 kHzの周波数の超音波を照射した際に,・OHの生成量が45 kHzにおいて増大し,28 kHz,100 kHzにおいて減少することを発見し,報告した.そこで本研究では,マイクロバブルを発生させた溶液がチューブ内を循環し,2台の発振器から超音波照射を受ける反応系を用い,1台目での超音波照射によるマイクロバブルの凝集が・OHの生成に及ぼす影響について実験を行い,検討を行った.その結果、1台目の発振器から45 kHzで照射したとき,発振器1台で照射したときよりも・OHの生成量が大幅に増加し,28 kHz,100 kHzのときにも増加した.通常,超音波を照射された気泡はビヤークネス力の働きによって凝集体を形成すると考えられるが,本実験では照射によって一部のマイクロバブルが圧壊し,更に微細なウルトラファインバブル(直径1μm以下の気泡)として残存したことで・OHの生成量を増大させたと考えられる.このように、流通系においても、ビーカー等を用いた結果と同様の結果が得られており、ノズルを用いた局所的な気泡場(ウルトラファインバブル)をつくれば、局所的なラジカル生成場を作ることが出来ることを意味している。気泡のトラップを活用すれば、本手法によるラジカル局所生成の可能性が示唆された結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザトラッピング技術による気泡の捕捉は困難ではあったが、チューブを用いたフロー系による気泡の局所導入はできた。この手法により、気泡の局所導入と超音波の同時照射によるラジカルの局所発生を可能にする見込みが出来たことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
ウルトラファインバブルでも同様の効果を確認できるか調べるとともに、レーザによる気泡とラッピングは現状の設備で難しいことが判明したため、今回、実施して利用可能と判明した流通系を活用し、また、本研究申請採択で購入した微弱発光を検出できるカメラを用いて測定を行いたい。
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