2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of atmospheric carbon dioxide fixation process using biomethane direct reforming
Project/Area Number |
20K05218
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡崎 文保 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10213927)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メタン直接改質 / バイオメタン / 二酸化炭素共存 / ナノカーボン / ナノカーボン直径 / 酸化鉄 / ニッケル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では,主に二酸化炭素存在下での触媒性能の向上を目指した.触媒金属当たりのナノカーボン生成比を高める事により,触媒コストの低減を図る事が出来る.メタンに二酸化炭素を共存させたモデルガスを用いて反応を行い,触媒性能とその活性化方法について検討した.二酸化炭素を始めから共存させると、触媒は活性を示さなかった.そこで,メタン流通下で触媒を活性化後,二酸化炭素を共存させると反応は持続した.したがって,活性種を先に形成させることが重要である.鉄系触媒の場合は二酸化炭素濃度20%以上では活性を示さなくなったが,ニッケル系触媒では40%まで活性を示すことがわかった.またニッケル系触媒の場合,二酸化炭素濃度が20%を超えると一酸化炭素が生成し,水素収率が低下した.メタン転化率は大きく低下しないので,生成した水素と二酸化炭素間でメタネーションが進行することが示唆された.触媒コストを考慮して,ニッケルの使用量を減らしたところ,ニッケル1に対して助触媒4の割合でも活性を維持できる結果が得られた.今後,さらなる触媒の試作・評価,触媒寿命の検討を進める予定である.生成炭素は鉄系、ニッケル系共に電気抵抗は1Ω・cm以下であり導電性材料として有用であることがわかった.SEM観察の結果,二酸化炭素が共存するとナノカーボンの直径は細くなる傾向を示した.ナノカーボンの直径は80nm〜100nm程度であった. 次にニッケル系触媒を用いて原料ガスを下水処理場より採取したバイオメタンにて反応を行った.何も処理しないバイオメタンでは反応は起きなかったが,脱硫したバイオメタンを用いると活性を示した.その値はモデルガスの実験結果とほぼ同程度であった.実際のバイオメタン中に含まれる硫化水素が触媒毒となっていると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオメタンから二酸化炭素を除去する分離膜を用いた予備実験を令和3年度中に行う予定だったが、実験室で使用できる規模の分離膜が年度当初はまだ販売されていなかった.しかし年度末に開発されたと連絡があり,購入に結びついた.したがって令和4年度当初から実験装置を作る事が出来る予定である.その他の研究は順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度はシステム全体のパフォーマンス向上を目指す.反応にバイオメタンを使用し,残存する二酸化炭素の反応への影響について詳細に検討する.さらに水分,硫化水素,アンモニアなどの微量成分の影響,触媒金属-ナノカーボン複合体の特性解明など,以下の検討事項を中心に,実証プラント設計への基礎技術を確立する.1)触媒金属-ナノカーボン複合体の特性解明 ナノカーボンの内部に閉じ込められた金属粒子の空気中における化学的安定性を調べる.安定な場合にはその特長を生かした用途を検討する.2)反応管閉塞対策:反応方式 流動床・移動床方式の長所,短所の検討を始める.3)安全性・親環境性に優れた鉄系触媒の開発 メタン直接改質に対するニッケル触媒の活性は高いが,ナノカーボンの内部に閉じ込められたままでナノカーボン材料として利用され後,廃棄物の一部として環境中に放出されることを想定すると用途は限定される.ニッケルおよびその化合物はPRTR法の指定物質だからである.したがって鉄系触媒の開発を行う.4)耐二酸化炭素触媒の開発 分離膜を利用してバイオメタンから二酸化炭素を分離しても,また数%はバイオメタンには二酸化炭素が混入するという前提で,その影響を受けにくい触媒を開発する.実験には模擬バイオメタンを使用する.5)実バイオメタンの直接改質 模擬バイオメタンを使用する実験結果を踏まえ,簡易バイオガス発生装置でつくった実バイオメタンを用いて触媒性能試験を行い,水分,硫化水素,アンモニア, その他の微量成分の影響も考慮する.
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