2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05219
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
楊 國輝 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (60709707)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 水素化 / カルボニル化 / エタノール |
Outline of Annual Research Achievements |
C1炭素種は一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)などを含んでいる。様々な炭素資源(天然ガス、バイオマスなど)からC1炭素種を経由して高価なC2+化学品(エタノール、酢酸メチルなど)への転換は炭素資源リサイクルにおいて重要な過程である。CO2からエタノールへの効率転換を実現するため、高活性又は多機能触媒のデザイン及びダイレクト転換できるルートの開発はこの問題解決に不可欠な要素である。本研究ではCOx(COとCO2)を原料とし、エタノールへの新規合成ルートを開拓してきた。特に鍵となる最も重要な一環であるジエチルエーテルのカルボニル化反応に焦点を当て、多種のカルボニル化反応用ゼオライト触媒を開発し、その触媒構造と反応性能を検討した。本年度には、開発したP1ゼオライト触媒は、カルボニル化反応において高い活性と生成物選択性を示し、CO2から直接的にエタノールを含むC2+の高付加価値化学品へ転換することを可能にした。 Na-P1は有機テンプレート剤を使用せずに水熱合成された。Al2O3やOH含有量を変化させて、異なる組成を有するH型ゼオライト(P1-1.0Al、P1-1.1Al 、P1-1.2Al)も合成した。DMEのカルボニル化反応において、そのPゼオライト触媒の性能を評価した。P1ゼオライトは高いカルボニル化反応活性を示した。P1-1.0Alは、反応開始から1時間後にDMEの転化率が36%に達し、その後6時間で19%まで減少した。一方、酢酸メチル(MA)の選択性は93%を維持した。NH3-TPD分析によると、アルミニウム含有量の増加はゼオライトの外表面酸性点を高め、副反応を促進し、結果的にはDME転化率が低下した。しかし、P1-1.0AlのMA収率は0.05 g/gcat・hに達成し、他のゼオライトと比較すると、P1はより優れたカルボニル化性能を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は順調に進展しており、目標を超える成果に達成した。現在までの研究進捗状況をまとめる。 炭素資源リサイクルにおける重要な過程であるCO2からエタノールへの効率的な転換を実現するため、高活性または多機能な触媒のデザインとダイレクトな転換ルートの開発が重要である。本研究では、COx(COとCO2)を原料とし、新規エタノール合成ルートを開拓した。特に、ジエチルエーテルのカルボニル化反応に焦点を当て、多様なカルボニル化反応用ゼオライト触媒を開発した。新規P1ゼオライト触媒は、カルボニル化反応において高い活性と生成物選択性を示し、CO2から直接エタノールを含むC2+の高付加価値化学品への転換を可能にした。 さらに、有機テンプレート剤を使用せずにNa-P1を合成した。Al2O3やOH含有量を変化させることで、異なる組成を持つH型ゼオライト(P1-1.0Al、P1-1.1Al、P1-1.2Al)も調製した。これらのゼオライト触媒の性能評価では、P1ゼオライトは高いカルボニル化反応活性を示した。特に、P1-1.0Alは高い酢酸メチル(MA)の選択性を維持しつつ、DMEの転化率が36%に達した。一方、Al含有量の増加はゼオライトの外表面酸性点を高め、副反応を促進したが、P1-1.0AlのMA収率は0.05 g/gcat・hに達し、他のゼオライトと比較しても優れたカルボニル化性能を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの成果に基づいて、今後は以下の方針で研究を推進していく:(1)より高性能な触媒の開発と最適化を行う、(2)新たな反応ルートの探索と効率的な反応条件の確立をする、(3)実用化へ向けた技術の改良と応用性を検証する、(4)国際的な共同研究と学術的な発表の促進を実施する。 これらの取り組みにより、今後も研究の成果をさらに高め、炭素資源の効率的なリサイクルと高付加価値化学品の合成に貢献していく。
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Causes of Carryover |
次年度の使用額は、補助事業の目標をより精緻に達成するための研究活動に起因する。具体的には、以下の研究活動を行う。 (1)追加実験の実施: 前の実験結果を再検証し、より詳細なデータや洞察を得るために追加実験を行う。 (2)学会参加と論文投稿: 研究成果や知見を広く共有し、他の研究者との交流を促進するために学会に参加し、研究成果を学術誌に投稿する。 これらの活動により、研究の品質向上や知識の共有を促進し、補助事業の目標をより精緻に達成するための研究を推進する。次年度の使用額に関しては、これらの活動に必要な経費を適切に計画し、助成金を活用して実施する。
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Research Products
(4 results)