2020 Fiscal Year Research-status Report
新規過剰発現ライブラリを用いた酵母のタンパク質分泌過程におけるボトルネックの解明
Project/Area Number |
20K05229
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 洋一郎 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 部局研究員 (50379153)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質分泌発現 / 酵母 / 過剰発現ライブラリ / ピキアパストリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、独自に開発した過剰発現ライブラリを活用し、分泌生産性が異なる複数の外来タンパク質を用いて、それぞれの分泌生産に対して律速となっている因子をピキア酵母株より探索、比較することで、酵母の外来タンパク質分泌発現過程におけるボトルネックの解明を目指す。そのために、本年度では下記を行った。 1.過剰発現ライブラリの質の評価:次世代シーケンサーを用いて、過剰発現ライブラリを、DNA断片レベル、プラスミドレベル、酵母ゲノムレベルにて評価した。外注で作製した一本鎖DNA配列に挿入・欠損変異が多くみられたものの、どのレベルにおいても過剰発現ライブラリとして機能することが確認できた。 2.ピキア酵母株過剰発現ライブラリからのスクリーニング:人工的に設計されたscFv抗体の分泌発現株より、15個以上のscFv抗体分泌発現性が増加した株がスクリーニングにより得られた。それぞれの株の過剰発現した遺伝子を同定し、同遺伝子を過剰発現させたscFv分泌発現株を新たに作製した。そのscFv抗体生産性を評価した結果、10個以上の新規過剰発現型有用因子(過剰発現により外来タンパク質の分泌生産性を増加させるピキア酵母遺伝子)を得ることに成功した。この成功により、本過剰発現ライブラリが機能したことを実証できた。またピキア酵母にて難分泌生産性を示す外来タンパク質の生産株の過剰発現ライブラリを作製しスクリーニングを始めた。異なる外来タンパク質生産株においても、複数の過剰発現型有用因子が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本過剰発現ライブラリが、NGS解析においても、抗体生産性を指標としたスクリーニングにおいても機能することが確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ピキア酵母にて難発現及び易発現を示す外来タンパク質の分泌発株において、過剰発現ライブラリからスクリーニングを行い、それぞれに対する過剰発現型有用因子の探索を行う。これらと、scFv抗体分泌発現ピキア酵母株で得られた有用因子と比較し、分泌発現に対するボトルネックを評価する。
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Causes of Carryover |
春先のコロナ禍により実験計画を調整する必要があり、予算執行が予定通りに行えなかったため。 過剰発現ライブラリからの有用因子スクリーニングを加速するために、人手が必要となった。そのため、翌年度の予算(当該助成金及び翌年度分の助成金)のほとんどを人件費に充てる予定。
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