2020 Fiscal Year Research-status Report
Inorganic-bio hybrid photocatalytic hydrogen production using a combination of microbial metal sulfide precipitation and hydrogenase reaction
Project/Area Number |
20K05230
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
本田 裕樹 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (90583849)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 光触媒 / 水素生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
光エネルギーによって駆動するクリーンな水素生産系の実現に資する新規な反応系の構築を目的として、無機半導体光触媒と生体触媒を組み合わせた無機-生体ハイブリッド型光触媒系による光バイオ水素生産を目指している。具体的には、微生物が有する金属硫化物半導体ナノ粒子形成能と、高活性な水素生成酵素である[FeFe]-ヒドロゲナーゼを活用する。形成された硫化物半導体による光エネルギー変換と、そこで得られた還元力を用いる酵素による水素生産を組み合わせることで光駆動型水素生産が達成される見込みである。2020年度には、まず、共試菌として大腸菌を用いた金属硫化物半導体形成能を検討した。大腸菌を所定の条件で生育させた後、カドミウムイオンとシステインを含む緩衝液に曝すことで大腸菌に硫化カドミウム(CdS)を形成させた。CdSは可視光応答型の光触媒として広く研究される光触媒である。各種の評価手法(拡散反射スペクトル、X線回折、走査型電子顕微鏡観察、およびエネルギー分散型X線分光法)を用いて、大腸菌で形成された物質がCdSであることを確認した。次に、大腸菌でのCdS形成とともに、同じ大腸菌において遺伝子工学的な水素生成能の付与が可能か検討した。CdSを形成した大腸菌においても、導入した遺伝子が機能して水素生成酵素が生産され、水素生成能が付与されることを確認した。最後に、得られた大腸菌を用いて光駆動型水素生産を試験した。条件検討(溶液のpH、溶液に添加する電子供与体)を経て、CdSを形成し、かつ水素生成酵素を生産する大腸菌と、電子供与体、およびCdSから酵素への電子伝達を補助する化合物の懸濁液への可視光照射によって、水素が生産されることを明らかにした。以上より、微生物によって形成されたCdSによる光エネルギー変換能と、遺伝子工学的に付与した水素生成能を共役させた、光駆動型水素生産系の構築に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定した内容を達成し、研究成果を論文発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初に想定した光駆動型水素生産系の構築は達成したが、現状の効率は低く改善が必要である。2021年度は、大腸菌による硫化物半導体形成に関して重点的に検討し、光エネルギー変換能の向上を目指す。具体的には、CdS形成に影響を与える培養条件の詳細な検討、システインからの硫化物イオンの遊離を促進する酵素遺伝子の導入、無機材材結合ペプチドの利用について検討する。CdS形成の質と量を改善して光エネルギー変換能を向上させ、反応系全体の高効率化を目指す。
|
Causes of Carryover |
参加を予定した学会のオンライン開催への変更により、旅費分相当の余剰が生じた。2021年度に繰り越し、消耗品費等に活用する。
|
Research Products
(1 results)