2021 Fiscal Year Research-status Report
新規Gas-to-Lipidsバイオプロセスの構築と至適化
Project/Area Number |
20K05232
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秋 庸裕 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 教授 (80284165)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オーランチオキトリウム / ホモ酢酸菌 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
CO2を固定化して嫌気的に有機酸発酵するホモ酢酸菌と有機酸を高効率で油脂に変換する好気性海洋微生物オーランチオキトリウムとの複合培養系からなる「Gas-to-Lipidsバイオプロセス」を至適化するため、オミクス解析やゲノム編集技術を駆使した育種によって当該微生物の極限性能を引き出し、実生産へ向けた学術的および技術的基盤を構築することを目的としている。昨年度までに、オーランチオキトリウムにおける酢酸代謝と脂質生産に関する特性を細胞内代謝物および遺伝子発現のオミクス手法によって解析して育種標的候補遺伝子を選別し、さらにCRISPR-Cas9システムを活用したゲノム編集によって脂肪酸生産性の向上効果を確認した。本年度は、候補遺伝子のうち未解析であった遺伝子について同様にして解析を進め、生産性向上への指針を得た。また、最終生成物の一つである抗酸化性カロテノイド類の高生産誘導条件についてレポーター系などを利用した解析を進め、従来のストレス応答性因子とは異なるシグナル伝達経路による誘導応答を示唆する実験結果を得た。このほか、酢酸耐性の付与を目的として、高濃度酢酸に対する長期馴化に向けた実験を進めており、従来条件と比較して高濃度での生育が可能な菌体群を得るための実験条件を設定することができた。さらに、当該バイオプロセスを構成する微生物間の自然界における栄養従属共生関係を推察するための解析手法を確立し、実際に各培地成分の関与について分析を進めることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた育種標的遺伝子のゲノム編集による改変効果の検定、脂質生産条件の解析および酢酸耐性の付与はいずれもほぼ想定通り進捗しており、さらに、微生物間の共生関係解析の裏付けとなる解析手法が新たに確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
育種標的として選別した候補遺伝子のうち、CRISPR-Cas9システムでの検定で特に有効と考えられた標的に対して、特許戦略的に有利なゲノム編集技術を適用して実用株を樹立する。その適用親株として酢酸耐性を高めた馴化株を利用し、さらに高生産培養条件を適用して生産性を最大化する。また、共生関係解析を海洋成分や環境汚染物質などに拡張して進めていく。
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Causes of Carryover |
旅費として計上していた予算の一部が未執行となったために繰越額が生じたが、次年度において物品費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)