2020 Fiscal Year Research-status Report
新奇なオンゲル共培養法を用いた脳スフェロイドへの血管網構造構築原理の探索
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20K05236
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 英樹 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30450894)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 神経幹細胞 / スフェロイド / 血管形成 / 粘弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生体外で誘導可能な大脳様の組織構造を有する脳オルガノイドに、血管網を構築する方法の糸口を見つけるために、ハイドロゲル上で脳スフェロイド(ニューロスフェア、脳オルガノイド)と血管形成細胞の共培養・浸潤アッセイ系を作製し、脳スフェロイドへの血管形成細胞の浸潤および血管網構造形成条件を探索することを目的としている。 初年度は、脳スフェロイドを部分的に接着できる柔らかいゲル材料の開発と共培養する血管内皮細胞の培養足場条件の検討をおこなった。培養したヒトiPS細胞から胚様体を経て、大脳オルガノイドを誘導し、PVAゲル表面への接着を検討した。一部の脳オルガノイドでPVAゲルへの接着は見られたが、振盪培養をすると接着が剥がれるため、まだ材料と培養方法の検討が必要である。スフェロイドの固定にナイロンメッシュなどの使用も試みた。また、UV照射コラーゲンゲルへの血管内皮細胞の接着についても検討し、ゲル表面へのUV照射の有無によって脳毛細血管内皮細胞のネットワーク形成とゲル内への浸潤の状態が異なることが見つかった。UV照射を施したコラーゲンゲルは架橋され、硬さ(ヤング率)が2倍程度に高くなった結果、血管内皮細胞の接着量が少し増加し、更に増殖が速くなるだけでなく、密着結合や仮足がゲル内への浸潤する様子が変化した。目的とする脳組織様構造体では脳毛細血管内皮細胞はネットワーク形成、管腔構造、密着結合といった条件が必要となるため、粘弾性と時間変化を考慮したハイドロゲルの足場条件の更なる選定が必要である。ゲル上での脳オルガノイドと血管内皮細胞の共培養はまだ実施していないが、今後共培養へ進むにあたっての良い情報が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
緊急事態宣言後、コロナウイルス感染防止のために私や研究協力者の研究活動が制限され、実質的に培養実験を3ヵ月程度止めざるを得なかった。そのため、実験の進みが遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更はない。血管形成細胞と脳オルガノイドとの共培養条件を検討するとともに、新たに発見したUV架橋コラーゲンゲル上で変化した血管内皮細胞の状態も考慮し、血管形成細胞が脳スフェロイドに浸潤できる足場条件も検討していく。
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Causes of Carryover |
初年度は緊急事態宣言の影響により実験ができない期間があったため、脳オルガノイド作製など3ヵ月以上の長期間の培養を要する実験が計画的に進められなかった。実験量の減少により試薬等の使用量が減ったことに加え、学会の中止やオンライン化により旅費の支出が減ったことが次年度使用額を生じた主な理由である。 2年目は研究の遅れを取り戻すために、研究協力者を増やし、スフェロイドとの共培養条件の検討と合わせて血管形成細胞の浸潤条件も解析していく予定である。試薬や器具、細胞の消費量は予定よりも多くなると予想されるため、初年度の予算から生じた次年度使用額をそれに充てる。
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Research Products
(2 results)