2020 Fiscal Year Research-status Report
網羅的に病態の診断が可能なアミノ酸計測用小型装置の開発
Project/Area Number |
20K05237
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
釘宮 章光 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (50285433)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミノ酸 / アミノアシルtRNA合成酵素 / アミノグラム / 生体計測 / バイオセンサー / ペーパーマイクロデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、3~5種類程度の複数のアミノ酸濃度が同時に計測可能な紙を分離・反応媒体に用いる「ペーパーマイクロ流路デバイス」を開発し、さらに、血液中に存在する濃度である5~1500 uMの20種類の各アミノ酸が選択的に計測可能であることを示すことを目標にして研究を進めている。 今年度は、1. 夾雑物質を除去する槽(血液中のアミノ酸を計測することを念頭に血中タンパク質やリン酸を除去)、2. 酵素反応槽(アミノアシルtRNA合成酵素を含有し、目的のアミノ酸と反応してピロリン酸を生成)、3. 比色検出槽(モリブデンアンモニウムを含有し、2で生成したピロリン酸と反応して青色に呈色)、の3槽からなるデバイスを作製し、その反応性について評価を行った。反応は、遠心機を低速で回転させることで反応液の送液を行い、酵素反応時間をある程度稼ぐことで十分な反応時間を得られるよう工夫した。各槽を結合するアダプターは3Dプリンタを用いて作製した。 その結果、100 uMまでのヒスチジンが選択的に定量可能であることを示した。また実サンプルである「みりん」を用いて夾雑物質の影響を添加回収試験により評価したところ、目的物質であるヒスチジンは86.3%回収できたのに対して、みりんに含まれるアスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニンにはほとんど反応性を示さなかった(2.3%以下)。よって本方法を用いると、実際の食品サンプルを用いて計測しても目的のアミノ酸であるヒスチジンが選択的に計測可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で学生の登校および実験ができない期間が2ヶ月ほどあったが、実サンプルを用いた試験評価を行い、実サンプル中の目的のアミノ酸が選択的に計測可能なことを示した。また遠心法を用いることで反応液の送液を行い、目的のアミノ酸濃度がワンステップでかつ10分程度で容易に計測できることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は実サンプルを測ることを念頭に置いて3つの反応槽を有するデバイスを3Dプリンタやろ過デバイスなどを組みあわせて作製して評価を行ったが、今年度は紙を分離・分析媒体に用いるペーパーマイクロデバイスについて検討し、複数のアミノ酸が同時計測可能なデバイスの開発を行う。昨年度の実サンプルの計測について評価する際に得られた知見をもとに、実サンプル中の除タンパクなどを有する膜をうまく組み合わせてペーパーデバイスの開発を行う。呈色反応における検出法についても簡単に計測できる方法について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会発表などの出張がなかったため。 今年度の学会発表のための出張費や試薬購入費などに充てる。
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