2020 Fiscal Year Research-status Report
敗血症モデルにおける計画的ネクローシスのFRETイメージング
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20K05238
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
村井 晋 東邦大学, 医学部, 助教 (90287540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕康 東邦大学, 医学部, 教授 (70276476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 計画的ネクローシス / FRETバイオセンサー / 生体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
計画的ネクローシス(ネクロプトーシス)は実行分子MLKLがRIPK3によってリン酸化されると細胞膜に移動しporeを形成することで実行されるネクローシス様の細胞死である。我々はネクロプトーシスにおける細胞死誘導から実行までを連続的にモニターする目的でFRETバイオセンサーSMART(Sensor for MLKL activation by RIPK3 based on FRET)を開発した。これまでに培養細胞にSMARTを導入してFRET解析することでネクロプトーシスを細胞膜傷害に先行してモニターできることを報告してきた。我々はさらにネクロプトーシスを生体内でモニターするため、SMARTを全身性に発現するトランスジェニックマウス(SMART-Tgマウス)を作製した。生体内の解析に先行してまずSMART-Tgマウスから細胞を調製しFRET解析を行なった。SMART-Tgマウス由来の腹腔マクロファージにネクロプトーシスを誘導したところ、細胞膜傷害に先行してFRETが観察された。またMLKLおよびRIPKの発現をノックアウトしたSMART-Tg腹腔マクロファージではネクロプトーシス刺激によるFRETは起こらなかったことから、培養細胞と同様にプライマリーの細胞においてもSMARTがネクロプトーシスを特異的にモニターできることが示唆された。またSMART-Tgマウ由来のMEFではMLKLの発現が低かったためネクロプトーシスが誘導されなかった。そこでインターフェロンβによってMLKLの発現を誘導した結果、ネクロプトーシスが誘導されFRETが観察された。これらの結果からSMART-Tgマウスの細胞でもネクロプトーシスがモニターできることが明らかとなり、組織レベルでのネクロプトーシスの検出にもSMARTによるFRET解析が有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、SMART-Tgマウスを作製し、in vitroおよびin vivoでのFRETイメージング解析を実施する予定であった。SMART-Tgマウスは予定通り作製することができ、マウスから調製した初代培養細胞である腹腔マクロファージとMEFについては、in vitroでのFRET解析は研究計画通り遂行できている。一方、敗血症モデルマウスの組織に対するin vivoでのFRETイメージングについては、研究計画遂行のために共同研究者である松田博士(京都大)所有の二光子顕微鏡によるイメージング解析が必要である。今年度、博士の研究室に出張し、保有する顕微鏡施設を利用する予定であった。しかし新型コロナ感染拡大により発表された東京都の指針に従い、東邦大学から首都圏以外への出張を極力見合わせる指示が出された。したがって今年度予定していた生体内でのFRETイメージング解析が中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
SMART-Tgマウスから調製した細胞に対するin vitroのFRET解析については想定した通りの結果となっており、SMARTがネクロプトーシスをモニターする有用なFRETバイオセンサーであることが確認できている。今後もin vivoでのFRET解析が中断せざるを得ない状況が続く場合を想定して、in vitroでの解析を推進する。具体的にはネクロプトーシスは細胞膜および細胞内小器官の膜に傷害を与えるとされているため、今後はFRETと細胞膜傷害の時系列をタイムラプスイメージングによって明らかにする予定である。そこで得られた知見を学術論文として発表し、in vivoでの解析結果が得られない状況であっても成果発表ができるように対応していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ拡大の影響のため、当初予定していた共同研究のための出張旅費について未使用となっているため、次年度使用額が生じている。2021年度では新型コロナ感染拡大の終息後、延期していた松田博士(京都大)との共同研究を再開する予定である。その出張関連費用を2021年度の国内旅費として加算し、共同研究推進のため使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] cFLIPのユビキチン化による新たなアポトーシス抑制機構の解析2020
Author(s)
中林修, 高橋宏隆, 村井晋, 大竹史明, 駒澤幸子, 土屋勇一, 佐伯泰, 吉田雪子, 山崎創, 徳永文稔, 森脇健太, 澤崎達也, 中野裕康
Organizer
第93回日本生化学会大会