2022 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化単分子膜による固液界面への機能性分子固定化方法の開発
Project/Area Number |
20K05251
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中野 美紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20415722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (10344219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 吸着 / タンパク質 / 表面、界面 / 自己組織化単分子膜 / 固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では固体表面と水溶液からなる固液界面に自己組織化単分子膜(SAM)を種々の条件で形成させ、タンパク質等の機能性分子の固定を行うった。機能性タンパク質であるチトクロームc(Cytc)は可視域に強い吸収スペクトルを示し、酸化還元反応及びそれに伴う吸収スペクトル変化を示すため、試料として用いた。また、固液界面自動洗浄機構はセル内の溶液の自動交換により、固液界面に吸着させた分子の脱離を促す。この装置とスラブ光導波路(SOWG)分光法を組み合わせ、脱離に伴って得られるタンパク質吸収バンド(CytcのSoret帯)ピーク位置における吸光度減少曲線を簡単な関数で相関する事で、最終的に脱離しない、固定された分子の割合を簡単に得ることができる。 2022年度は「脱離前にCytcを固液界面に吸着させている時間」の固定割合に対する依存性を検討した。通常は14分間放置するところを、30秒と30分間でも行ったところ、吸着時間が長くなるに伴い脱離する割合が減少し固定される割合が増加した。従来から固液界面に吸着したタンパク質は三次元構造を変化させる、いわゆるコンフォメーション変化を示すことが示唆されている。今回、我々の実験でその場観察された吸着時間の増加に伴う固定割合増加は、このコンフォメーション変化に伴いタンパク質が分子レベルで吸着力を増すことで固定されている可能性が考えられる。さらに、固定されたCytcに還元剤(ハイドロサルファイトナトリウム)水溶液を接触させたところ、吸着時間が増加してもCytcは迅速に還元され、その機能に大きな変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、「脱離前にCytcを固液界面に吸着させている時間」の固定割合に対する依存性を検討した。その結果、タンパク質が分子レベルで吸着力を増すことで固定されている可能性を示唆する結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は機能性タンパク質の吸着・脱離・固定化についてSOWG分光法を用いて評価を行う。吸着反応と脱離反応のその場観察から得られるパラメータの対比を行い、SAM評価方法を確立する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で、出張による打ち合わせ・実験が困難となり、申請時よりも、旅費、学会参加費、消耗品代に減額が生じた。今年度は新型コロナ感染症の状況を見ながら、積極的に出張等による打ち合わせ・実験・学会等での動向調査を行っていく予定である。
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