2023 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化単分子膜による固液界面への機能性分子固定化方法の開発
Project/Area Number |
20K05251
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中野 美紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20415722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (10344219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 吸着 / タンパク質 / 表面、界面 / 自己組織化単分子膜 / 固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では固体表面と水溶液からなる固液界面に自己組織化単分子膜を形成させ、タンパク質等の機能性分子の固定化方法の開発、及び固定後の機能観察を行ってきた。機能性タンパク質であるチトクロームc(Cytc)は可視域に強い吸収スペクトルを示し、酸化還元反応及びそれに伴う吸収スペクトル変化を示すため、標準試料として用いた。また、固液界面自動洗浄機構はセル内の溶液自動交換により、固液界面に吸着させた分子の脱離を促す。この装置とスラブ光導波路(SOWG)分光法を組み合わせ、脱離に伴うタンパク質吸収バンド(CytcのSoret帯)ピーク位置における吸光度減少曲線を簡単な関数で相関する事で、最終的に脱離しない、固定された分子の割合を簡単に得ることができる。 2023年度は「脱離前にCytcを固液界面に吸着させている時間」の固定割合に対する依存性を更に検討するため、SOWGへの新規な光導入方法開発から行った。従来は、SOWG上に垂らしたグリセリン滴内に光ファイバを直接挿入しコア層内に白色光を導いているが、グリセリン滴の微小な変化でドリフトが生じるため、1時間程度の測定が限界であった。そこでグリセリン滴の代わりに透明なゲルを用いSOWGコア層内への白色光導入を行ったところ、最長で8時間以上の測定が可能であった。 ここまでは最長で30分間程度の放置時間を、最長8時間まで延長しCytc固定のその場観察を行った。吸着時間の段階的な延長(1、2、4、8時間)に伴い脱離割合が減少し固定割合が増加する現象は、放置時間8時間の範囲で成立することが示された。 従来から論文等で固液界面における吸着タンパク質の三次元構造変化は示唆されてきた。本年度の実験でその場観察された吸着したまま放置する時間の増加に伴う固定割合増加は、コンフォメーション変化に伴いタンパク質が分子レベルで吸着力を増すことが原因である可能性が示唆された。
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