2022 Fiscal Year Annual Research Report
Gas diffusion and formation of hydrates through water nanotubes
Project/Area Number |
20K05259
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 広志 東北大学, 理学研究科, 准教授 (30275292)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガスハイドレート / 水ナノチューブ / 水和 / 水素結合 / ガス吸蔵 / プロトン伝導 / 拡散 / 分子動力学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子性ナノ多孔質結晶{RbIII(H2bim)3・20H2O}nの親水性ナノチャンネルに内包された水ナノチューブは、14面体水分子ケージが1次元的に連なった構造をもつ。赤外分光実験から、メタン吸蔵は脱水をともなうことが分かった。また、プロトン伝導率測定から、吸蔵過程では、最終的な安定状態に至る前に、準安定状態をとることが分かった。赤外分光実験から決定した水分子数は、1本のナノ細孔に対して、1ケージ長さ(5.4 nm)当たり、準安定、安定状態において、それぞれ10、6水分子/ケージと見積もれた。これらの値を用いて、分子動力学計算を実行して、ナノチャンネル中のメタン分子の水和状態と、配置を決定した。吸蔵量をパラメータとして、シミュレーションを行い、原子間の動径分布関数を求めた。これにより、ナノチャンネルの内圧が判断できた。準安定状態におけるメタン分子数は、2~4メタン分子/ケージと見積もれた。メタン分子は、ビイミダゾールRu錯体(RbIII(H2bim)3)が配置するナノチャンネル壁付近に水和するが、水分子は、トリメシン酸(TMA)周辺に水素結合することが分かった。5 nsのシミュレーションにおける水和構造では、ナノチャンネル方向に水分子間の水素結合は多く維持され、準1次元的なプロトン伝導経路が確保される。安定状態では、3~5メタン分子/ケージだけ吸蔵される。その水和構造から、メタン分子のクラスターが成長し、ナノチャンネル方向の水分子間を結ぶ水素結合が多く切断されるため、準1次元伝導経路がほとんど消失する。そのためプロトン伝導率がほぼゼロになることが分かった。耐水性が高い分子性ナノ多孔質結晶は、マイルドな環境下でも、水蒸気との混合ガスから選択的にメタン吸蔵が行え、かつ、MOFに匹敵する高密度なメタン吸蔵が可能であることが判明した。
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Research Products
(11 results)