2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of comparable intracellular stability evaluation method for nanomaterials using intracellular delivery nanocarriers
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20K05284
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
佐々木 隆浩 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (20714489)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一次修飾ナノ粒子 / 一次修飾剤 / シリカシェルの化学量論的制御 / 細胞内安定性 / 細胞内送達ナノキャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
「細胞内送達ナノキャリアの開発:一次修飾ナノ粒子のコア-シェル化」 ナノ材料を細胞内へ送達しその材料安定性や細胞毒性を評価する場合、ナノキャリアが細胞へ影響を及ぼさないよう、完全な細胞内安定性が必要である。これには、一次修飾ナノ粒子表面へ配位結合している化合物(一次修飾剤)のナノ粒子表面からの脱離を抑制することが重要となる。このため、一次修飾剤を足掛かりとしたシリカシェルの構築(コア-シェル化)を検討した。さらに本研究では、20 nmのナノ粒子表面に数nm程度のシリカシェルを再現性よく構築することを目指し、化学量論的な制御によるシェル構築法の確立を試みた。ナノ粒子表面の一次修飾剤量を基準にシランカップリング剤添加量を段階的に増やしたところ、シェルの形成および厚さの増大がTEM観察により確認され、これに伴いナノ粒子の化学的安定性が向上した。このとき得られた最適なシェル厚は1-2 nmであった。 「分散安定性、化学修飾効率、配位安定性に優れた一次ナノ粒子のための一次修飾剤の探索」 細胞内送達ナノキャリア、細胞内サンプルリターンあるいはその他バイオ応用のための機能性ナノ粒子の開発において、一次修飾ナノ粒子の特性、特に分散安定性、化学修飾効率、配位安定性は重要である。これらの特性は、一次修飾剤とその配位子交換効率に依存する。したがって、優れた一次修飾剤の選択と適した反応条件が求められる。一次修飾剤を含む12種の化合物群から、分散安定性、化学修飾効率、配位安定性の順に段階的に有望な化合物を絞り込み、全ての特性に優れた化合物の探索を行った。その結果、ナノ粒子表面への配位形式が異なる二つの有望な化合物を見出した。また、標準的な配位子交換反応条件を概ね確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2020-2021年度に細胞内送達ナノキャリアの開発、およびこれを用いたナノ材料の評価法を確立する予定であり、2020年度は特に細胞内送達ナノキャリアの開発を重点的に行う予定であった。具体的には、ナノキャリア用一次修飾ナノ粒子の化学量論的コア-シェル化制御を達成した後、種々の化学修飾を行い、ナノキャリア単体での細胞内取込挙動を評価する予定であった。実際にコア-シェル化を達成することはできたが、2020年度は細胞培養やインキュベーションといった継続的な実験が困難な状況となったため、細胞関連実験は2021年度に行うこととした。その代わりとして、2022年度に重点的に行う予定であった、一次修飾ナノ粒子のための一次修飾剤候補化合物の探索に着手した。さらに、化合物のタイプにあわせた標準的な配位子交換反応条件を概ね確立できたことも、今後さらに候補化合物を探索するうえで有利となる。以上のことから、一部、研究計画の変更が生じたもののおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、細胞内送達ナノキャリアの開発については、コア-シェル化ナノ粒子への分子修飾を行い、細胞内取込挙動を評価する。さらにここで得られた結果を修飾する分子種や分子修飾デザインへフィードバックし、細胞内送達ナノキャリアの構造を最適化する。安定な取込効率を達成した後、リンカーの修飾およびリンカーへのナノ材料の係留を行い、ナノ材料の細胞内送達を試みる予定である。 また上述の実験と並行して、一次修飾剤の候補化合物の探索も継続し、さらなる有望な化合物を探索するとともに一次修飾剤の体系的な特性理解を深める。
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Causes of Carryover |
2020年3月に購入した実験装置(55万円相当)が2020年度予算に計上されていないため、次年度使用額が比較的大きな額となった。また、予定していた細胞実験を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。これについては、2021年度に行う細胞実験に使用する予定である。
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